研究課題/領域番号 |
61300001
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
伊藤 大一 埼玉大学, 大学院政策科学研究科, 教授 (30000657)
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研究分担者 |
吉村 融 埼玉大学, 大学院政策科学研究科, 教授 (50008629)
田中 正躬 埼玉大学, 大学院政策科学研究科, 教授 (40197471)
森田 朗 千葉大学, 法経学部, 助教授 (80134344)
村松 岐夫 京都大学, 法学部, 教授 (80025147)
野口 悠紀雄 一橋大学, 経済学部, 教授 (90008649)
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キーワード | 規制 / 民営化 / テレコミュニケーション / バイオテクノロジー / 経営多角化 / 金融自由化 / 研究開発 / 政策コミュニティ |
研究概要 |
1.分野別の調査研究を通じて明らかにされたことは、英国に比べて、日本の場合、企業の自助努力を引き出すことに重点がおかれ、それだけ民間の自己責任を強調する傾向がみられることである。この点は、哀退産業政策の中心が経営の多角化を促すところにおかれ、成長産業政策の中心が企業の研究開発を促すところにおかれていることから読み取れる。政府介入におけるこうした限定性は政府主導型の産業発展という通説的命題と矛盾する。この矛盾は政府介入が産業発展の切り札としてのみ用いられ、現実に政府・産業関係の全過程を覆っているわけではないという仮説によって説明されよう。 2.機能的に据え直してみると、日英両国にはそれぞれ産業規制の適量とでも称すべきものがあり、それだけの量の規制は不可避であることが判明する。これは規制緩和と呼ばれているものが、多くの場合、実は規制の質ないし形態の変更に他ならないことを意味する。民営化が電気通信事業の再規制をもたらしたのはその好例である。ただし、それは政府規制である必要はなく、ギルド型規制であっても差支えない。例えば、英国の場合、MiAに関するシティの規制が事実上参入規制の機能を果していた。この型の規制が弱い日本ではその分政府規制に頼らざるをえず、そのことが上述の通説的命題の一つの根拠になっていた。3.以上の知見をふまえて分析枠組を再構成すると、「政策コミュニティ」は切り札としての政府介入を可能にする組織化された「行政コミュニティ」とそれを包絡するルール設定型の「法的コミュニティ」とに二元化されることになろう。そして、問題解決の鍵は政策の質に合わせて両者の間に相互作用のパターンを構成していくところにある。
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