研究分担者 |
応地 利明 京都大学, 文学部, 教授 (60024212)
渡部 忠世 放送大学, 教授 (00032053)
古川 久雄 京都大学, 東南アジア研究センター, 助教授 (00026410)
工楽 善通 奈良国立文化財研究所, 考古第一調査室, 室長 (00000472)
佐原 真 奈良国立文化財研究所, 研究指導部, 部長 (20000466)
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研究概要 |
本年度は第二次年度にあたるが, 前年度と同じく二つの柱で研究をすすめた. ひとつは, 発堀現場における現地調査である. もうひとつは既存資料の収集とそれに基づく総合である. 第一の臨地研究は昭和62年8月下旬に, 栃木・郡馬・埼玉県において, 一名を除く員による合同調査を行った. 前年度においては, かなり早い時期に稲作技術が土器製作技術をともなって九州から青森に到達していたという事実を確認したが, 今回は郡馬県より出土する遠賀川式土器, パレススタイル土器などを実見して, 西から東への土器の流れを技術伝播をどのように結びつけるかが改めて問題とされた. 前年度の第二の結論である, 弥生稲作の重層構造, 即ち南方の江南系要素と大陸系要素の重なリということについては, 複合遺跡である聖山公団遺跡(栃木), 並榎北遺跡(郡馬)などの時代を異にする水田趾の精査により, 小区画水田が大陸の畑作技術と系譜的に連続する可能性が高いことが改めて認められた. 新保遺跡(弥生後期・古噴前期)や小数田遺跡(主として古噴初頭)出土の木製品についても新たな解釈が試みられた. とくに黒井峯・中筋遺跡などにおける浅間C,二川岳のFA FP層下の各水田跡の相異については, 居住空間とも関わり, 今後の研究課題となった. 第二の既杉資料の総点検は, 各地方自治体などで発表された発堀報告書を収集・検討する作業が続けられた. その中で, 特に重要な作業としてとりあげていた出土水田遺構実測図集成は, 各報告書によって異なった現格や表示法で発表されている水田遺構図を, 統一した規格, 縮尺のもとに集大成した. 水田畦畔が検出され, 面積的にも比較可能な程度の範囲が実測された全国約200地点にわたる水田遺構の集成は, 古代水田の全体像を浮かび上がらせ, 初めて精密な形態的比較を可能にするばかりか, 今後の研究の基本的な資料としての価値が高い.
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