研究分担者 |
応地 利明 京都大学, 文学部, 教授 (60024212)
渡部 忠世 放送大学, 教授 (00032053)
古川 久雄 京都大学, 東南アジア研究センター, 助教授 (00026410)
工楽 善通 奈良国立文化財研究所, 考古等一調査室, 室長 (00000472)
佐原 真 奈良国立文化財研究所, 研究指導部, 部長 (20000466)
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研究概要 |
二カ年にわたる研究の結果二つのことが明らかになった. 第一は弥生稲作文化が今までの予想に反して, 極めて早い時期に本州の再北端に至っていたということの確認である. すなわち, 弥生のかなり早い時期に遠賀川式土器とそれをともなう稲作が青森にまで至っていたということの確認である. これはすでに報告されている垂柳遺跡においてだけでなく, その他の何カ所かの遺跡においても確認された. 遠賀川式土器を確認するのに, 刺突のやり方が決め手になるなど, 今後, 他の調査地域にも応用可能な方法論が呈示されたのは一つの成果であったと考えている. 第二の弥生稲作の系譜という点に関しては, 必ずしも全員が同意に達したという訳ではないが, ひとつの仮説がかなり明瞭に出された. ここでの問題は, 日本の稲作は江南に直結すべきものなのか, それとも朝鮮経由と考えるべきかの点であるが, これには直接的な回答は与ええなかったものの, それに間接的に接近するような考え方が提唱された. これは群馬県などに多く検出された, いわゆる小区画水田の系譜についての新解釈である. これらの小区画水田はオアシス農耕に結びつく, という仮説が呈示された. 二カ年の研究中, 私達が最も必要を強く感じたものは, 既存の発掘資料を集成しておいて, 誰にでも利用可能にしておくということであった. このための第一歩として, とりあえず私達は水田遺構の集成を行うことにし, 約200地点の水田遺構図を集成した. 研究実績の内容は以上の通りであるが, 報告書としては次の二部を出している. すなわち, 『水田遺構図集成および遺跡地名表』と『小区画水田の系譜-オアシス農耕文化の道』である.
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