研究分担者 |
勝村 哲也 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (50066411)
高島 文一 明治鍼灸大学, 教授 (70123495)
赤堀 昭 小太郎漢方製薬研究所, 所長
坂出 祥伸 関西大学, 文学部, 教授 (30067574)
麥谷 邦夫 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (90114678)
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研究概要 |
本年度の研究計画のなかで特に重点的に取り組んだのは, 第一に『太素』全巻の訳注の完成である. これは昨年秋までに全三十巻の訳注初稿を作成することができた. 枚数があまり膨大であり, また定稿に仕上げるまでには内容的に解決すべき問題が残っているために, いまのところまで出版の目途は立っていない. 第二は, 『太素』索引の作成である. これも昨年末までに完成し, 現在『仁和寺本黄帝内經太素索引初稿』を印刷中である. この索引を使って, 『太素』本文と楊上善注に引用された本文とを校合し, 『太素』の定本を作成するのが, 研究計画の第三の重点であるが, この作業は現在進行中である. 定本が完成してのち, 索引に訂正を加えて定稿を作り, それを印刷出版する予定である. この三つの計画の推進によって, 『黄帝内經太素』研究のための基礎的な作業はほぼ完成したということができる. これらの基礎作業と並行して, 各研究分担者は『黄帝内經』の医学とその形成過程および歴史的展開の研究をすすめてきた. それらを通じて徐々に明らかになってきたことは, 『黄帝内經』の二系統のテキスト(『素問』・『霊枢』と『太素』)のうち, 従来閑却視されてきた『太素』がさまざまな面で古い形を残しており, 古代医学の研究にはきわめて重要な意味をもっていること, 唐の楊上善の注は医学思想と道教思想との本質的なかかわりをしめす貴重な資料であること, の二点である. いずれも今後の中国医学史の研究にとって大きな示唆を含むものといえる. 研究発表は主として研究会の席上でおこなわれ, 現在までのところ印刷されたものは少ない. しかし, 現在, 別に中国科学史の論文集の出版計画を立てており, この中に現在各分担者がすでに原稿としてできあがるか, または執筆中の論文を収録する予定である. これもまだ出版が具体化するにいたっていないので, 既発表の論文をもって報告とする.
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