研究課題/領域番号 |
61300014
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
広領域
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
川内 浩司 北里大学, 水産学部, 教授 (70050523)
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研究分担者 |
青木 宙 宮崎大学, 農学部, 助教授 (00051805)
内藤 延子 昭和大学, 医学部, 講師 (30053903)
中井 康光 昭和大学, 医学部, 教授 (60053807)
平野 哲也 東京大学, 海洋研究所, 教授 (70013571)
長濱 嘉孝 基礎生物学研究所, 教授 (50113428)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1988
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キーワード | 生殖腺刺激ホルモン / GTH / GTH放出ホルモン / エストラジオール17α、20β-diOHprog / 11-ケトテストステロン / cAMP / 甲状腺刺激ホルモン / 甲状腺ホルモン / 産生細胞 / 卵胞 / 精巣 / 変態 / 降海 / cDNA / cAMP |
研究概要 |
I.魚類生殖腺刺激ホルモン(GTH)の2元性:シロサケ脳下垂体から、α鎖とβ鎖からなるGTH-IとGTH-IIを単離し、一次構造を決定した。また、サブユニットのcDNAを同定した。GTH-IIが既知で、GTH-Iが新規の分子である。β鎖のウサギ抗体による免疫染色で両者は別々の細胞で産生されるが、生殖腺の発達に応じ、GTH-I細胞が出現し、GTH-IIが続いて発現する。GTH-Iの血中及び脳下垂体量は卵黄・精子形成期に高く、GTH-II量は排卵・排精期に高い。両者の分泌はGTH放出ホルモンによって調節される。卵黄形成を促進するエストラジオール17βの産生能において有意の差はないが、卵成熟を促進する17α、20β-diOHprogの産生能はGTHIIの方が高い。さらに、コイとカツオにも2種類のGTHを同定したことにより、魚類のGTHの2元性を確立した。 II.GTHの作用機構:GTHは卵成熟期の卵胞の莱膜細胞で、17α、20β-diOHprog前駆体の生成と顆粒膜細胞での変換酵素20β-HSDの合成を促進する。一方、この卵成熟誘起ホルモンは雄では排精を誘起する。精巣での合成には体細胞と精子が必要であり、精子に、20β-HSDが局在する。卵黄・精子形成期には、GTHはエストラジオール17βおよび11-ケトテストステロンの合成を促進する。G Hによる莱膜細胞、顆粒膜細胞、精巣におけるステロイドホルモンの生成には細胞内cAMPの上昇を伴うことから、GTH作用はGTH受容体・アデニレードシクラーゼcAMP系を介して発現することを示唆する。 III.甲状腺ホルモン:ニジマス稚魚の血中チロキシン濃度の増大を指標として、甲状腺刺激ホルモンの生物検定法を確立し、部分精製した。甲状腺ホルモンは未受精卵の卵黄に含まれること、シロサケ組織中、血中レベルが降海直前に増大すること、ヒラメの変態を促進することなどから、各種魚類において初期発生、変態あるいは回遊など生活環境が変わる際に重要な作用を有するといえる。
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