研究分担者 |
江本 載理 (40000442)
百橋 明穂 神戸大学, 文学部, 助教授 (30090377)
三浦 定俊 東京国立文化財研究所, 保存科学部, 主任研究官 (50099925)
門倉 武夫 東京国立文化財研究所, 保存科学部, 主任研究官 (10000457)
馬淵 久夫 東京国立文化財研究所, 保存科学部, 部長 (30011498)
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研究概要 |
1.可搬式赤外分光計の性能テスト 拡散反射型の可搬式赤外分光計を新規に購入し, 実験室内に設けた模擬壁画について赤外スペクトルを求めた. 結果は透過法とほぼ同じであり, 外部試料に対して有効な機器であることを確認した. 2.同上装置による実地測定 上記の機器を実際の採色文化財について実験するため, 横浜市三渓園の天瑞寺寺塔に運搬し, 測定した. ここで問題になったのは, 電源が遠いため電圧低下をきたし, リフトが円滑に作動しないことである. これは今後の実験で十分対策を立てる必要がある. 3.奈良県下の彩色文化財の予備調査 次年度に測定を予定している五条市栄山寺八角堂および法隆寺金堂壁画の現地調査を行なった結果, つぎのような問題があることがわかり, 対策を考えた. (1)安定電源の確保 法隆寺の金堂は昭和24年の火災により, そのまま収蔵庫に安置されているので電源の問題はない. しかし, 栄山寺八角堂は50m離れた所に電源があり, 何らかの対策が必要である. 管理者と協議した結果, 測定期間中だけ近傍3mの所に電源を仮設することが定まった. (2)計測器と壁面距離の調整 螢光X線装置, X線回折装置, 赤外分光計の3著とも共通のリフターの上に乗せて操作するが, 栄山寺も法隆寺も足下に障害物があり, 上部の計測器を壁面に向って突出させる必要がある. 計測器は3著とも100Kg程度あるので, そのままではバランスを欠く. 対策として, リフターと測定器の間にもう一つの架台を作成し, おもりによってバランスを保つという方法を考案した. 壁面は両者とも重要文化財ないし国宝であり, 美術史的にも重要な彩色文化財なので, これら3種の機器によって得られる顔料についての情報は極めて貴重なものになることが期待される.
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