研究分担者 |
古賀 一男 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (30089099)
吉村 浩一 金沢大学, 文学部, 助教授 (70135490)
太城 敬良 大阪市立大学, 文学部, 助教授 (00047250)
鹿取 廣人 東京大学, 教養学部, 教授 (80012300)
牧野 達郎 早稲田大学, 教育学部, 教授 (40063268)
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研究概要 |
前年度迄に実施した, 上下逆転・左右反転眼鏡の長期着用(16〜18日)実験の分析をさらに進めると共に,昭和61年度購入のアミチ・ダハ・プリズムを用いた上下左右逆転鏡(180°四転鏡)の製作改良を進め, 且つこれを用いて今世気効頭のストラットンの実験以来ほとんど実施されたことのない上下左右逆転視野への長期順応実験を実施した. 但し結果はなお分折中である. また既に実施した各種変換様式の助応過程の比較分析をおこなった. 本年度研究実施計画における年度主テーマ「再構造化の媒介機序とその要因」は,すでに計画調書等に記載した如く,変換視野への順応の過程における再構造化を媒介する機序(或は諸要因)を実験的に描き出し,且つ理論的枠組を明らかにするのを目的としていた. 実験成果の統括と理論的問題の分析の結果,(1)自己ー外界関係の再統合過程において,自己中心性知覚体制と外界中心性知覚体制が,自己身体の「視」覚情報を媒介にして再統合されること,(2)それに伴い,外界が外界らしてリアリティを恢復し,安定した外界が形成されること,(3)その際,自己受容性感覚や聴覚その他の異種感覚情報は,変換された視覚情報を核(又は優位な媒介的枠組)にしてより無矛盾な方向に再統合されること,さらに(4)前庭動腺反射(VOR)などの反射性の視ー自己受容ー協応補償系が推進的媒介機能を上記の機序に於て果しうるものの個々の補償系が全て単純に推進的機能をもつとは限らない などの知見がえられた. 以上の成果は,成果報告書として取りまとめ中であり,昭和63年6月末日頃までには,印刷,配布の予定である.
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