研究分担者 |
大嶋 恭二 東洋英和女子短期大学, 助教授 (20185250)
村岡 末広 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (40182084)
滝口 桂子 埼玉県立衛生短期大学, 専任講師 (70149178)
浜野 一郎 明治学院大学, 社会福祉学部, 教授 (70062148)
古川 孝順 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 教授 (10060469)
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研究概要 |
この研究の主題は, 社会福祉施設と地域社会との関係を従来の施設社会化論の枠から離脱し, 施設設立過程における施設-地域紛争をも視野に含める視点, すなわち「複合施設化」の視点から施設-地域関係のあり方を総合的に解明することにあった. 研究の過程で知りえたことの概要は以下のような諸点である. (1)1970年代に始まる施設の社会化は理念としても, 実践においても, 施設(養護施設)の過半において定着している. (2)ただし, その視点には, なお施設の側から, 施設の閉鎖性を打破し, 地域の無関心や偏見を取り除く努力をするという, いわば啓蒙主義的な限界が認められた. (3)施設の設立時期との関係でいえば, 新しい施設ほど施設-地域関係に敏感であり, また施設-地域紛争を経験する頻度も高い傾向にある. (4)施設設立主体の別でいえば, 公立施設より民間施設の方が施設-地域関係に対する関心が高く, その分施設社会化の実績もあげている. (5)内容的には, 施設の設備・備品等の地域社会への解放から始まった施設の社会化は, そこからさらに施設の固有機能の外延的拡大を通じて地域社会の福祉ニーズに対応するという方向に拡大しつつある. (6)養護施設の社会化の究極的な形態として位置づけられるグループ・ホームにおいては, 地域社会への埋没を目指す方向と地域社会との関係を意志的に構築していこうとする方向とが相半ばする意識状況にある. (7)施設-地域紛争の性格は施設の種類や設置された地域社会の住民意識によって異なるが, 一般的にいえば偏見や敵対視による拒絶的な対応から施設の新設・改築を契機に道路や公共施設の改修など当該地域社会における社会資本の充実を図る条件闘争的, あるいは要求充足便乗的な対応に変化している. (8)いま求められているのは施設の社会化にとどまらず, それを越えた施設のいわばインフラストラクチャー化であり, 一部の施設ではその試行がすでに始まっている.
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