研究課題/領域番号 |
61301039
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
文化人類学
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研究機関 | 聖心女子大学 |
研究代表者 |
吉田 禎吾 聖心女子大学, 文学部, 教授 (60037025)
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研究分担者 |
木村 秀雄 亜細亜大学, 経済学部, 助教授 (10153206)
板橋 作美 東京医科歯科大学, 教養部, 助教授 (70107415)
末成 道男 聖心女子大学, 文学部, 教授 (20054570)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1988
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キーワード | 儀礼 / 祭祀 / 祖先祭祀 / コスモロジー / 方位観 / 伝統文化 / シャーマン / ケガレ / 儀礼シンボル / 門中 / 神女(カミンチュー) |
研究概要 |
第1には、北部沖縄の奥、安田部落において儀礼と村落構造との関係を分析し、次に伊是名島において、シヌグ儀礼、洗骨、祖先祭祀などの観察を通じて儀礼と村落構造との関係を研究し成果があがったが、さらには、台湾高砂族の狩猟儀礼と伊是名のシヌグとの間に類似点があることが明らかになり今後の沖縄研究に新たな知見を与えることができた。第2には、伊平屋島の野甫、本島本部町備瀬、国頭村諸部落における諸行事、儀礼(ウィミー、豊年祭、ウプユミマー、サグンジャミ、男のハシチ、女のハシチ、タムトノーイ、ウンジャミ(海神祭)など)を観察記述し、分析することによって、海上他界観に通ずるニライカナイの観念、祖霊観、山の神と海の神の信仰、方位観などが捉えられた。また女性に観するケガレ観のある村と、それがほとんどない地域があることも明らかになった。これらの儀礼における種々のシンボルの意味も興味深い収穫の一つである。たとえば野甫のウィミーの後のススキ、国頭村の比地、奥、などのウンジャミ祭におけるネズミをいれたパパイヤの実などである。この場合ススキは厄払い、魔よけとして用いられ、ネズミの入ったパパイヤは、イノシシを表し、海の幸を得るために海に流すためのものである。第3は、ユタに関する研究成果である。ユタは沖縄の伝統文化において、客の相談を通じて祖先祭祀、門中関係を明らかにし、村落共同体におけるノロその他のカミンチューの選定を行なうと共に、伝統的な祭祀に対して批判しながら沖縄のコスモロジーを再解釈、再構築、理論化する試みを行なってきている。このことは社会的レベルでは、カミンチューたちとユタとのコンフリクトをおこし、文化的レベルでは、伝統的な沖縄宗教の神学と戦後の混乱、変化への対応を含むユタの新しい神学との対立、葛藤である。つまりユタはシャーマンとしての側面の他に、伝統文化の担い手であると共に再解釈者という面を持つ。
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