研究分担者 |
重岡 保郎 愛媛大学, 法文学部, 教授 (90097460)
岡本 明 広島大学, 文学部, 助教授 (90025057)
佐藤 眞典 広島大学, 学校教育学部, 助教授 (90033654)
石川 勝二 愛媛大学, 教育学部, 教授 (60036390)
向山 宏 広島大学, 文学部, 教授 (00087818)
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研究概要 |
歴史叙述は同時代の意識と密接にかかわるとの認識に立って、西洋史の諸時代における歴史家がそれぞれの時代状況をどのように認識し、どのように対応しようとしたのかを、国家の問題に限定して考察しようとするのが,本研究の目的である。このような問題意識のもとに,各研究分担者は研究を進めてきた。以下にそれを略記する。 1. ギリシア史については、向山が前5世紀におけるポリス意識の高揚をヘロドトスを通して探り、堀井は同世紀末の400人寡頭政権に関するツキュディデス,アリストテレスを手がかりに,両者の国家意識のあり方を検討し、池田は、崩壊期ポリスの現実とそれに対応しようとするイソクラテスの政論を吟味する。 2. ローマ史については、石川はサルスティウス,リウィウスの叙述を手がかりとして、ローマ人の多様な国家概念を摘出し、豊田はエウセビオスの著作によって、3・4世紀におけるキリスト教とローマ帝国の関係の全体的把握と時代背景の再確認を試みる。 3. 中世史については、佐藤と橋本が研究を分担、佐藤はイタリアを中心とし,「帝国」と「王国」と「都市国家」の重層的構造を、都市年代記等を手がかりとして把握しようとする。橋本はグリゴリウスの著作を通して、ローマの理念的秩序に対するフランク王国の対応状況を考察している。 4. 17・8世紀関係では、野嶌は17世紀イギリスにおける「古来の国制論」をめぐる論争を手がかりとして,王党派・議会派の政治思想を究明しようとする。岡本はモンテスキュー『法の精神』のなかの国家構想が18世紀フランスの現実にどのようにかかわっているのかを明らかにしようとする。 5. 19世紀に関しては、平田がイギリス自由主義国家論を再検討し,重岡はイタリア近代化の過程における南部と北部の関係を通してファシズムにまで至る国家問題を論じたグラムシの国家論を対象とする。
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