研究分担者 |
重岡 保郎 愛媛大学, 法文学部, 教授 (90097460)
岡本 明 広島大学, 文学部, 助教授 (90025057)
佐藤 眞典 広島大学, 学校教育学部, 助教授 (90033654)
石川 勝二 愛媛大学, 教育学部, 教授 (60036390)
向山 宏 広島大学, 文学部, 教授 (00087818)
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研究概要 |
各時代に状況に対応して,それぞれの時代の歴史家(政論家)がどのように国家の問題を構想しようとしたのかについて,各研究分担者は引き続いて研究を進め,それぞれに研究の進展をみせている. 1.ギリシア史については,向山は,ヘロドトスの歴史叙述にみられるポリス意識とヘラス意識との落差を問題とする手がかりに,アテナイにおける国立基地と国葬制度の成立過程を検した.堀井は,前411年の寡頭派政権の成立と崩壊,5000人政権の成立に関して,諸々の学説を検討したうえで,その政変を叙述したツキュディデスとアリストテレスの国家観を明らかにしようとする.池田は,386年に王の平和成立から377年の第二次アテナイ海上同盟成立までの時代を一瞥して,同盟憲章におけるポリス自治の規定がどのような過程を経て行われたのかを考察している.2.ローマ史については,石川は共和政未期〜帝政初期の歴史家サルスティウス,リウィウスが古い時代のローマ人の国家観をどの程度正しく伝えているかを,史料批判の面からも検討しようとする.豊田は,ローマ帝国のキリスト教迫害に関して,帝国のキリスト教への対応,3世紀の危機的状況とキリスト教の教勢拡大を問題にしている.3.中世史については,橋本は,グレゴリウスがフランク王国やビザンツ帝国との関係で,西ゴート王国をどのように把握したのかを考察し,佐藤は,国王証書,都市年代記を手がかりに,イタリア都市間には国家意識の差があることを明らかにする.4.近現代史については,野嶌は,ウィリアム一世の即位をめぐる17・8世紀の歴史叙述によって,「古来の国制」論に関する歴史観と政治論を論じた.岡本は,フランス革命,19世紀初期にはモンテスキューの国家像はどのように受けとめられたかを問題にしている.重岡は,グラムシの獄中ノートを手がかりに,彼のイタリア近代化論を検討している.
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