研究課題/領域番号 |
61301050
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
桑原 莞爾 熊本大, 文学部, 教授 (70039965)
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研究分担者 |
高橋 純一 埼玉大学, 経済学部, 助教授 (30143241)
佐藤 勝則 茨城大学, 人文学部, 助教授 (40106737)
木村 和男 秋田大学, 教育学部, 助教授 (10004079)
伊藤 昌太 福島大学, 教育学部, 教授 (80007327)
井上 巽 小樽商科大学, 商学部, 教授 (10002982)
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キーワード | 古典的帝国主義 / 多角的貿易決済機構 / 再生産=信用構造 / 関税=貿易政策 / 資本輪出政策 / ポンド体制 / 大不況 |
研究概要 |
本総合研究は第一次大戦前の「古典的帝国主義」期(1900〜1914年)の全体像を主として経済的側面から解明しようとするものである。第一のテーマは、帝国主義世界の全体像把握にかかわる方法的枠組を如何に設定するか、という問題である。結論として、世紀交替期にイギリスを中心国として確立する「多角的貿易決済機構」(いわゆる"multilateralism")こそ、この段階を把握するために不可欠のキー概念であることを再確認した。第二のテーマは多角的貿易決済機構の中心国たるイギリス帝国主義の構造的特質を析出することにある。これについてはイギリス資本主義の「再生産=信用構造」(さらに、媒介環として財政・政治権力構造)を前提として、「関税=貿易政策」論争、「資本輸出政策」論争の分析に関心が集中されている。しかし、帝国主義世界における諸列強の対抗を具体的に促えるには、なお、軍事(=防衛)政策・外交政策の領域を射程に入れる必要がある。第三のテーマは、「ポンド体制」下におけるイギリスと諸列強、並びに従属諸地域の構造的関連の解明である。前者についてはドイツ・オーストアニハンガリー・ロシアおよびアメリカが取り上げられているが、現時点で分析は各国の再生産構造の把握に止まっており、イギリス帝国主義との相互連間を文体的に促えるに至っていない。また、後者についてはインドとカナダが対象として指定されているが、研究は「大不況」段階を脱していない。 以上の諸個別研究を一つの全体像にまとめるには、今後、論点の意織的統一が一層必要と考えている。
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