研究分担者 |
小沢 澄栄 東京都立大学, 人文学部, 助手 (40106589)
重藤 実 東京大学, 教養学部, 助教授 (80126078)
松浦 純 東京大学, 文学部, 助教授 (70107522)
福本 義憲 東京都立大学, 人文学部, 助教授 (90111351)
藤代 幸一 東京都立大学, 人文学部, 教授 (70083285)
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研究概要 |
昨年度から目指していた研究の設備面での整備がほぼ完了した. これによって, 中世, 近世および近代の言語資料を多量にデータ化することが可能になり, 所期の目標に見合う程度のものにまで充実させることができた. 具体的にはまず, 中世ドイツ語の資料として, HEINRICH VON VELDEKEのENEIDEほか数点を完全に入力した. また比較研究の資料として, ZEITおよびSPIEGELを現代語のモデルとして相当数データ化した. この総合研究の個々の研究成果は, 報告集としてまとめつつある. 執筆者は藤代(都立大), 石川(京大), 重藤(東大), 鐡野(慶応大), 保坂(筑波大), 岡田(麗沢大), 中島(都立大), 福本(都立大)である. 具体的には, 次のような成果があげられる. コンピュータ利用による語学研究の基本的諸問題を洗いだし, その可能性と限界を理論的に追求した(鐵野). ETTMULLER版によるENEIDEのコンコルダンツ, または辞書作成の試みを通して, 中世ドイツ語の語義記述の諸問題を検討した(中島). 中世低地ドイツ語の統語論の観点から, 『ブルージュの泥棒』と『海の商人の妻』に素材をとり, 中高ドイツ語との共通性にも注目しつつ, 接続法の用法について明かにした(藤代). 『ハイモンの4人の子ら』(16世紀ドイツ語)の動詞の語順の問題を分析した(岡田). 従来の通時論的研究で得られるような類推という概念は, 構造的諸条件や普遍文法が持つ諸原則の体系の内に捉え直すことができ, またその分析が, 歴史的統語論に寄与するだけでなく, 現代語の分析に重要な知見を与えることを論じた(保阪). 従来の言語変化論を検討して, 変異や変容の観点から言語の変化の様相を捉える必要性をととりあげた. そして, 共通ドイツ語の音韻的な問題を分析して, 地域的変化と歴史的変化の相関関係を考察した(福本). これらの成果を踏まえて, 今後さらに新たな観点を加えて, 共同研究を継続する予定である.
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