研究概要 |
本年度は, 前年度に引き続いて病院経営と病院倒産の現状とその問題点に関する情報収集につとめた. その作業は大きく2つに分かれる. まず, 病医院の倒産とその処理の実情についての実態調査である. 前年度来実施してきた, 関東地区,北海道地区,関西地区,中国地方,中京地区,九州地区に,新たに東北地区,北陸地区を加え, 実態調査を行なった. 調査方法としては,裁判所の記録調査,関係者(対像病院の債権者及びその事件を扱った弁護士),関係官庁,さらに当該病院の患者,もしくは近辺地域住民に対するインタビューといった方式を採用した. これらの調査にもとづいて, 調査を実施した各研究分担者のもとで分析が行なわれ, その成果は全体の研究会での報告, 意見交換を経て, 研究分担者全体の共同財産となりつつある. その結果, 多くの各地域実態調査報告を比較討することが可能になり, 順次問題点(たとえば 各地域で単独に見える倒産の関連性や, 地域内における特色, 類似性等)が浮きぼりにされてきている. なお, これらの調査結果については, 順次公表している予定であり, 目下その準備を進めている. この作業と同時に, 医師会, 関係官庁, 地方公共団体, マスコミ関係者との病医院経営の実態と法制度, 医療政策を含めたその環境, さらには病医院の倒産の現実とそれに対拠するための基本的ポリシー等について, 情報提供を受けるとともに意見交換を行なった. これらの作業を通じ, 病院倒産処理のあり方について, 当研究会全体としての具体的な問題の提起, 並びにありうべき新たな法規制の可能性を検討しつつある.
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