研究分担者 |
中村 剛治郎 横浜国立大学, 経済学部, 助教授 (60143872)
遠藤 宏一 日本福祉大学, 経済学部, 助教授 (90103704)
水口 憲人 大阪市立大学, 法学部, 教授 (60047371)
加茂 利男 大阪市立大学, 法学部, 教授 (80047357)
横田 茂 関西大学, 商学部, 教授 (80067686)
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研究概要 |
本年度は東京,大阪両大都市圏と金沢市,松江市を対象に実態調査をおこない、ニューヨーク市,ローマ市やボローニャ市の資料を蒐集し、主として人口構造や産業構造の変化にともなう都市財政の変化と改革の方向について基礎的研究をおこなった。 大都市圏の財政問題は70年代以降、主として都市問題という新しい財政需要に応えるべき財源構想として議論され、東京都などから「新応益原則」にもとずいて企業や高額所得者の負担をもとめる税源拡充構想が提言された。当時はその他にも大阪府,名古屋市,神戸市や京都市など、それぞれの団体に特有の財政需要に応じた提言がなされ財政史上空前の自治体による改革要求の時代であった。この結果、法人関係地方税の超過課税や事業税の新設がおこなわれた。しかし、不況と国の財政危機にともなって、改革は中断し、重点は行政改革に移った。しかし、当時議論されていた都市財政特有の財政需要にふさわしい地方財政の確立という課題は依然として残っている。しかも、近年の東京圏への経済力の再集中や県庁所在地の大都市化という新しい事態は、あらたな財政需要を生みだしているといってよい。本研究は来年度もひきつづき実態調査と歴史的な比較研究をすすめるので、ここでは本年度の一次的結論をのべたい。 (1)国際化と産業構造のサービス化は近年の法人関係税の税収の伸びを鈍化させている。地方事務所ビルの高層化と都心集中は財政需要を増大させている。(2)大都市人口の所得水準の相対的低下,失業率の上昇と高齢化は、市税の伸びを全国市町村税の平均の伸び以下に減退させる一方、民生費を急増させ、新しい財政ストレスが起きている。(3)社会資本の整備が完了した大都市では、(1)に伴う需要以外に維持管理費がふえ新しい財政制度を必要としている。
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