研究課題
本研究は、住宅計画・生産・供給における技術・手法の普及に関する理論的検討と技術・手法の普及構造に関する調査研究からなっている。本年度の主要な研究成果は、次のとおりである。1 技術手法の理論的検討「技術論」「普及学」といった関連分野における研究を整理し、普及構造を捉える上での基本的な概念や枠組みを明らかにした。2 技術・手法の普及構造に関する調査研究(1)統計に基づく普及動態の把握住宅供給・材料・生産組織などの領域において、都市化・商品化・工業化に関連した諸要素の普及動向を明らかにした。各々の要素について、普及の仕方の類型化を試みた。また、普及の仕方に地域差があることが示された。(2)計画・生産・供給の諸側面からみた技術・手法の普及構造「住居観・住意識・ライフスタイルの変化」「集合住宅の普及過程」「建築材料の変化とその影響」「都市化にともなう住宅生産供給組織の変貌」といった側面を取り上げて、その時系列的な変化の内容、変化のプロセスを明らかにし、変化の要因について検討を加えた。(3)地域における技術・手法の普及構造住宅計画・生産・供給における技術・手法の普及といった観点から、典型的であると思われる地域を抽出し、その地域における技術・手法の普及構造を総合的に捉えようとした。寒冷地で本州から地理的にも独立した北海道と、現在でも伝統的な大型木造住宅が新築されている能登地域を取り上げた。寒冷地型技術の開発・定着、本州からの新技術の導入、寒冷地型技術の北海道から本州への普及、全国一律的な住宅金融公庫の標準仕様と地域独自の工法との融合、などの実態が整理された。
すべて その他
すべて 文献書誌 (2件)