研究概要 |
近年、農業経営の運営に関する情報システム化の諸問題が多くの関心を集めているが、本年度はその基礎的解明の第一着手として、各種の情報の受け取り手である農業経営者の主体的な性格の差異によって、そこで求められている情報の範囲,内容,性格,精度,加工の度合などにどのような特色があるかを明らかにするために、つぎの4つの調査研究を並行的に進めた。 (1)代表的地域における実態調査;研究分担者相互間の「営農情報」についての共通の認識を深めると同時に、これをどのようにして農業経営経済学的に把握・分析していくかという方法論上の検討を兼ねて、北海道・十勝畑作、東北・山形果樹作、九州・長崎蔬菜作の3地点を選び、延べ約90戸の個別農家実態調査を実施した。(2)主要地点における農家配票調査;上記聞取調査の成果をふまえ、それをより一般化するために農業地域ならびに経営形態を異にする主要地点7カ所を選定し、それぞれ100戸〜200戸の農家群を対象にして悉皆的に配票調査を実施し、各農家における営農情報に対する関心の度合、その情報源,そのメディア,充足状況などを詳細に調査した。(3)情報需要の主要側面別の検討;上記の(1)ならびに(2)の結果に基づき、生産技術,市場対応,財務管理,技術革新などの主要側面ごとに、情報需要の特質を吟味すると共に、その供給体制についても検討した。(4)第2年度以降の研究推進に備えての文献資料の整理;現在、全国各地で進められつつある営農情報システム化の進展状況をとらえると同時に、それに関連する文献資料を検討し、広く営農情報にかかわる既往の研究成果の収集・整理を進めた。 これらの成果の概要は、この研究の第1年度の中間報告として取りまとめて印刷公表したが、関係各方面からの関心も極めて高い。とりわけ農業経営形態ならびに経営規模階層を異にすることによって情報需要の内容は極めて多様であることが明らかになった。
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