研究課題
総合研究(A)
可換環論は数学の種々の分野で基礎的な道具であり、それらの分野の基本的な問題が可換環の問題として定式化される場合も多い。これらは可換環論の発展に刺激を与えると共に、純粋に可換環の問題と見ても重要なものが多い。このように、可換環論の他の分野、特に代数幾何学、整数論、微分方程式論、さらには、これらの全体がかかわる物理学の超弦理論などとの密接な交流は可換環論の発展だけでなく、数学全体の進歩に重要な意味を持つ。この研究を実施するに当たっては、このような視点から、いくつかの分野にまたがる研究集会の開催、関連する研究集会への研究協力者の派遣など、研究者の相互理解、情報交換、討論の機会を多く作ることに特に力を注いだ。また研究の進展に伴い、研究の細部の検討のため関連する分野の研究者と研究連絡を行い、研究の総合発展をはかった。これらの活発な研究活動により多くの成果を上げた。組合せ論と深いつながりのある環の詳しい研究、小行列式で生成される環の研究、不変式のなす種々の環の具体的な構造の決定、、代数的多様体の分類、特に3次元極小モデルの存在証明、Hodge構造とTorlli問題の研究、ベトクル束のモデュライのコンパクト化の研究、超弦理論の代数幾何学的、整数論的側面の研究等をその例としてあげることができる。このように、当研究は可換環論とその応用について十分な成果を上げ、この分野の今後の発展の見通しを付けるうえでも重要な役割を果たしたと考える。
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