研究分担者 |
笹尾 哲夫 緯度観測所, 極運動研究部, 課長 (20000177)
大久保 修平 東京大学, 地震研究所, 助手 (30152078)
若生 康二郎 緯度観測所, 極運動研究部, 部長 (40000161)
米山 忠興 東洋大学, 文学部, 助教授 (00120353)
横山 紘一 緯度観測所, 極運動研究部, 課長 (10088784)
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研究概要 |
1.世界の地球回転研究は, 従来の光学観測から百倍も精度のよいVLBI観測によるものに移行した. 日本においても当総合研究分担者の努力により本格的なVLBI観測体制の前段階として, アメリカ3局十日本1局から, 成る太平洋観測網を構築し, 1987年4月から当面月1回の頻度で観測を開始し, 良好な結果が得られつつある. また, 本格的なVLBI観測装置のハード・ソフト面での検討が急ピッチで進められている. 2.カオス解析理論がIPMSデータに適用され, 極運動のフラクタル次元は3.2で, 極運動は高々3コの変数で記述できる力学系であることが示された. また, チャンドラー揺動の振巾と位相の経年変化を80年間にわたり追跡した結果, 年周成分の振巾とチャンドラー周期の関係から, チャンドラー周期の不変性が示された. 3.気象庁解析データを用いて, 大気角運量及び大気励起函数を定常的に算出するコードが作成され, VLBI地球回転データから求められた天文励起函数との比較検討が可能になった. これにより大気・海洋等の地球表面近傍での現象に起因する地球回転変動が解明されつつある. 4.地球回転に伴う弾性変形の研究を進め, 海洋潮汐荷重変形に与える地球内部構造の効果を定量的に見積れるようになった. これにより大気の運動による地球回転励起の理論計算に弾性変形効果を取り入れることが可能となった. 最近のVLBI, 超伝導重力計, 歪計の観測結果から明らかになりつつある章動・日周地球潮汐の理論モデルからの外れが流体核共鳴現象における流体核・マントル間結合トルクの性質を反映したものであることがわかった. また, このような研究は地球深部ダイナミックス研究において大きな意義を持つことが示された.
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