研究分担者 |
藤井 保憲 東京大学, 教養学部, 教授 (60012308)
細谷 暁夫 広島大学, 理論物理学研究所, 教授 (80028258)
富松 彰 名古屋大学, 理学部, 教授 (10034612)
佐藤 勝彦 東京大学, 理学部, 助教授 (00111914)
富田 憲二 広島大学, 理論物理学研究所, 助教授 (90034610)
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研究概要 |
宇宙構造には"大域的"と"局所的"の2種類の問題がある. 大域構造は現在の地平線を越える宇宙全体構造の問題であり, これは宇宙の量子的創成とそれに続くインフレーションのシナリオに関係していると考えられている. 局所構造の問題は, 密度ゆらぎの起源と, バリオン物質のみならずダーク物質についてもその密度構造を知ることである. 一方, 重力を含む弦理論のような試みは, 一般相対論の修正を導出する可能性をもっている. こうした研究の状況を考慮して, この研究計画では上記ふたつの意味の構造を重力理論との関係で検討することを目的とした. この研究計画で研究された課題は次のようなものを含む. 1.量子重力:Wheeler-DeWitt方程式に基き宇宙時間を導入する方法. 量子論的ブラックホールの波動関数. 2.高次曲率項に基づく重力理論:カオス的インフレーションモデルの新しい性質. ブラックホールの構造. 非線型重力波. 3.宇宙モデル:多次元ミックスマスター宇宙. Nariai-Kantowski時空. 4.インフレーション:閉じた宇宙におけるカオス的インフレーションモデル. インフレーション過程によるバリオン生成. 再加熱過程による等曲率ゆらぎの生成と粒子反粒子の空間的分離. 5.ダーク物質と元素合成:レプトン数とHe, Li量. 崩壊粒子による宇宙背景輻射スペクトルのずれ. 6.構造の形成:ゲージ不変形式による等温ゆらぎの成長. コスミックストリングによる銀河形成と渦状銀河の回転速度. 崩壊粒子優勢な宇宙モデルとIRASのデータの比較. 総括的には, これらの研究によって, 当初考えられていた課題よりはるかに多様な可能性が気づかれた.
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