研究分担者 |
楠瀬 勤一郎 工業技術院, 地質調査所, 主任研究官
松浦 充宏 東京大学, 理学部, 講師 (00114645)
長谷川 武司 秋田工業高等専門学校, 助教授 (10004409)
山本 清彦 東北大学, 理学部, 助手 (90004390)
大中 康誉 東京大学, 地震研究所, 助教授 (00012956)
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研究概要 |
1.すべり様式に関する実験的研究: (1)ある断層面で固着-すべりが発生するには, その断層面粗さのパワー・スペクトルにコーナー波長λcが存在し, 波長λがλ<λcではλ=λn;n〜2.5, λ>λcではλ=λm;m<1であることが必要条件である. また, λcは不安定すべりの規模を支配するスケール・ファクターの一つである. (2)不均一強度の断層面では強度の大きい部分が不安定すべりの発生とすべりの停止を支配する. (3)高速不安定すべりが発生する媒質と発生しない媒質からなる複合断層面では低速伝播の不安定すべりが発生する. 2.固着-すべりにおける短周期波励起に関する実験的研究: (1)不安定すべりの最大すべり加速度, 最大速度, fmaxと凝着領域内のすべり挙動との関係を明らかにした. (2)不均一強度分布の断層面でも, umax/vr〓Δτb/μが成り立つ. たヾし, 分散は均一強度の場合に比べて大きい. ここで, umax, vr, Δτbとμは, それぞれ, 最大すべり速度, 破壊伝播速度, ブレイクダウン・ストレス・ドロップと剛性率である. 3.発熱過程とエネルギー配分に関する実験的研究: (1)固着-すべりにおいて摩擦熱となるエネルギーQはQ/W=1-Δτ/τ1で表わせる. Wは装置によってなされた全仕事量, Δτは応力降下量, τ1は初期応力である. また, ガウジ発生量から見積もられる破壊エネルギーは全仕事量の0.1%以下である. (2)破壊エネルギーが粗さを考慮して得られる断層面の真の面積に比例することを示唆した. 4.すべり過程のモデル化と数値実験: (1)試料内応力分布の数値シミュレイシォンにより, 不安定すべり発生直前の断層面上の応力状態が推定された. (2)自然界の断層運動を把握するための新しい解析手法の開発をした.
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