研究分担者 |
高橋 修平 北見工業大学, 教授 (50125390)
藤井 理行 国立極地研究所, 助教授 (20125214)
渡辺 興亜 国立極地研究所, 教授 (60111861)
成田 英器 北海道大学, 低温科学研究所, 講師 (20001662)
中尾 正義 国立防災科学技術センター, 雪害実験研究所, 室長 (90142695)
HONDOH Takeo Fac. of Engineering, Hokkaido University
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研究概要 |
この研究の目的は南極観測事業の一環として東南極特に東クィーンモードランド地域の氷床を対象に実行された雪氷学的調査「東クィーンモードランド雪氷研究計画」の結果の解析と個々の解析の総合的展開を行うことてであった. つまり上記5ヶ年計画で得られたデータや試料をより詳しく解析するとともにその相互の関連を総合的に解明して過去から未来へと続く氷床像を明らかにしようというものである. 61年度では主としてみずほ基地で掘削された700mコア氷の解析に重点が置かれ次のことが明らかになった. 1.みずほ基地氷床コアのδ18O分析結果によると深さ150mから浅くなるにつれδ18O量は急に増加している. この事実は氷床表面高度の低下を示している. 2.みずほ氷床コアー中の固体微粒子の測定結果によると数千年前頃大気環境に大きな変動が生じていた. 3.みずほコアーの含有空気量の測定結果からみずほコアーの氷化高度を求めると, 現在の氷床形態から推理される結果と合致せず, 氷床表面高度の低下を示している. 62年度では主として氷床流動の解析に主点を置き, 流動測定, アイスレーダー測定の分析を行った. その結果, 1.JMRによる流動測定によってみずほ高原氷床のうち白瀬氷河流域の相当部分で氷床表面が低下していることが明らかになった. 2.みずほ基地での700m掘削孔内の温度測定結果を分析すると氷床形態が定常状態にあるのではなく氷床表面が低下していることを示している. 3.アイスレーダーによる基盤岩からの反射エコーを分析した結果, 白瀬氷河流域の下流部分では基盤岩と氷の間に水が存在していることが明らかになった. 以上のように東南極氷床のうち少なくともみずほ高原氷床が現在崩壊しつつあることが明らかになった. これらの研究成果は昨年スイスと西ドイツで開かれた国際会議でも発表され今後の発展が大きく注目されている.
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