研究分担者 |
向井 正 金沢工業大学, 教養部, 教授 (10097412)
荻野 竜樹 名古屋大学, 空電研究所, 助手 (00109274)
上出 洋介 京都産業大学, 理学部, 教授 (60113099)
松本 紘 京都大学, 超高層電波研究センター, 教授 (00026139)
大家 寛 東北大学, 理学部, 教授 (80025931)
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研究概要 |
本年度は, 惑星・彗星のプラズマ中の波動現象に重点をおいて共同研究をすすめた. 1987年3月にハレー彗星が太陽に接近した際, 世界各国の探査機が彗星の近傍で多面的な観測を実施し, 彗星ガスが太陽風に取り込まれる過程で生ずものと思われる波動現象を見いだした. 本年度はこの観測に基づく理論的研究を進め, 彗星プラズマの混入によって生ずる非平衡状態の速度分布からプラズマ波動が成長し, 同時に速度分布関数が変化してゆく非線形過程を, 計算機実験を手段として研究した. 彗星プラズマとの相互作用による太陽風のマクロな変動についても計算機実験との比較を行ない, 衝撃波の発生とそれに伴う非熱的高エネルギー粒子の加速機構についても解明を進めた. 地球の磁気圏については, オーロラ現象に伴って観測される電波の発生機構に関して, 既に蓄積された衛星観測データと理論的仮設との比較検討を, さまざまな電波モードの同定を有力な手段として進めた. オーロラ電子の高速運動から発生するプラズマ波動の周波数スペクトル等についても, 計算機実験によって非線形発展やモード間カプリングの様相を明らかにすることができた. 放射線帯に注入された高エネルギーのイオンから発生する低周波の電磁流体波については, 強度の時間空間分布の解析が進み, イオンのドリフト運動に起因する変化が確認されたが, 波動現象の開始と終了の原因の解明は今後の問題として残っている. 一方, 地球磁気圏における粒子加速機構の解明についても前進があり, 尾部における磁力線再結合による加速モデルを改良して観測との整合性を高め, また磁力線にそう電場による加速については衛星観測と理論モデルの定量的比較を行ない, オーロラ電子の起源の理解を深めた.
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