研究分担者 |
高柳 洋吉 東北大学, 理学部, 教授 (70004299)
西村 進 京都大学, 理学部, 助教授 (40026802)
小泉 格 大阪大学, 教養部, 助教授 (20029721)
糸魚川 淳二 名古屋大学, 理学部, 教授 (90022566)
広岡 公夫 富山大学, 理学部, 教授 (30029467)
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研究概要 |
日本海の形成時期における古地理および古環境の変遷を, 西南日本主要地域の新第三系の微化石生層序基準面による対比,化石群集からえられる古環境情報, 古地磁気偏角による各ブロックの廻転量をもとに推定し, 各時期の古地理図を作製した. I.17Maでは西南日本の主部は34°N,129°Eをオイラーポールとして47.0°反時計廻りにもどした位置にあり, 現在日本海底に認められる大陸塊もそれに伴って廻転させると, この時期には西南日本海域はすべて陸地であり, ここには海水の浸入はなく, 北東ー南西方向にのびた淡水域があったと推定される. II.16Ma時期の西南日本の新第三系には, はじめて海成層があらわれる. しかもマングロープ沼貝類群集および花粉群集が各地でみられる. この時期の古地理については2通りの推定を行った. (1)この時期の古地磁気偏角の平均値は17Maのそれとわぼ同じであるので, アジア大陸東縁のこの地域では, 末だ陸塊の分裂と廻転移動はおこっていなかったと考えられるので, この熱帯性の海は海水準変動によって, これまでの淡水域に流入して来たものと推定した. (2)古地磁気偏角の値は平均値として同じであっても詳細には変差がみとめられるので, すでに廻転移動がわずかにおこっていたと推定し, 測定誤差の範因(±10°)で廻転させた. この場合には日本海は開き, 分裂した大陸片が西南日本地鬼との間に散在した熱帯性の多島海が出現することになる. III.15Maの時期は西南日本地塊の主転移動が進行する時期と推定され, 海域の拡大と地域的な深化がおこったと推定される. 廻転移動量の正確な値は末定であるが, 一応の仮定として約50%として作製した古地理図では, 16Ma時期にくらべ, 水温は低下して温帯性となり海域はさらに拡大し, 各大陸片は地穀の伸張によって海面にほとんど没したと推定した.
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