研究概要 |
1. リング補強の円筒殻の外圧による座屈現象は古くから研究されてきた. しかし,胴板の有効巾の決定については,種々の推定式が提案されたおり, かなり異なる値を与えている. ここでは従来の研究を整理し, 精度を高めたエネルギー法に基づいて解析を行い, より信頼できる式を提案した. 2. 潜水船の耐圧殻に用いられる補強円筒殻について, 溶接によって建造された場合不可避的に初期たわみが生ずる. この初期たわみの影響により耐圧強度が減少することが予想される. この現象をフレーム1本を含むリング状の構造について, 座屈波数が実際の殻の場合と等しいと仮定して, 座屈圧力の低下率を定めると, 別途行った実験とよい一致を示した. 同様な方法で座屈時の有効巾を求めたが, これも実験値とよい一致を示した. 3. 船首部,船尾部では防燃材が外板に傾斜して付いているが, この傾斜と非対称性が外圧に対する外板・防燃材構造の強度に影響をおよぼすと考えられる. この問題を調べるためにL形断面の防燃材を付けた帯板の曲げ試験を行った. 防燃材の傾斜角は90°と75°の二種とした. 実験の結果, どの試験体も荷重は全塑性モーメントに達したが, 対象断面およびトリッピングブラケット付きの試験体以外は, 菱形が進行した最終段階で防燃材の横倒れを生じ急激に荷重が低下した. 4. 前年度に開発した, 極限横波中のセミサブの確率的崩壊解析プログラムに座屈破損を考慮できるように改良を加えた. 想定極限横波中に対して数値計算を行い, 崩壊に与えるブレース材の座屈破損の影響が大きいことなどを明らかにした. 斜波中に対して適用可能とするため, 三次元波力計算と組合せた立体骨組構造の崩壊モードの自動選定と信頼性評価プログラムを開発した. 今後は, 想定極限斜波中に対して数値計算を行う予定である.
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