研究概要 |
最近計算機利用技術の発展にともなって, 構造力学の応用範囲が拡大するとともに, 従来個々の構造物を対象にして組み立てられていた構造力学の解析手法も大幅に変化した. また, 有限要素法やマトリックス構造解析に代表されるような計算機中心の解法が広く利用されるようになって来た. それに伴って, 大学学部・大学院における構造力学の教育を体系的に見直すことが社会から要請されている. 本研究はアンケート調査や過去の調査資料をもとに, 将来の大学学部・大学院での構造力学の教育のあるべき姿を模索することを目的としている. 本年度は最終年度にあたるため, これまでに行ったアンケート調査, 過去の調査資料等を分析することによって, 大学における構造力学の教育の動向を把握するとともに, 将来の構造力学のあり方を考究した. そのために土木系の構造力学の教育に携わっている研究代表者・研究分担者によって, 合計7回の会合をもち, それぞれ分担の調査結果を持ち寄って, 最終成果報告書の取りまとめ作業を行った. 分析結果によれば, 従来の構造力学の中で, 力学の基本原理の教育は将来とも変化はないものの, 従来用いられてきた構造物を解析するための方法は次第に計算機に適した方法に移行しつつあること, そのためには, 構造力学の中で用いられている座標系, 記号の統一をはかる必要があること, 構造力学の将来の教育に知識工学や数式処理, CAD/CAMなどに関する内容を加える時期に来ていること, 教育の効率をあげるため, CAIの利用が実用化の段階に来ていること, などが指摘された. これらの主旨を中心に成果報告書をまとめるとともに, その成果を教育に反映させるため, 成果報告書を広く配布することにした.
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