研究分担者 |
高野 健人 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (80126234)
中尾 哲也 島根大学, 農学部, 助手 (00180240)
佐藤 孝二 名古屋大学, 農学部, 教授 (60023420)
松浦 邦男 京都大学, 工学部, 教授 (70025823)
東 修三 京都府立大学, 生活科学部, 教授 (20046402)
SADO Takeshi Kyoto University . Faculty of Agriculture (00026494)
TAKAHASHI Akira Shimane University . Faculty of Agriculture (80032548)
KITAYAMA Shigeru Tokyo Noko University . Faculty of Agriculture (10026502)
|
研究概要 |
木研究2年間の研究成果の詳細は別刷のとおりである. 当初の計画の8割は実行できたと確信できる. まず調温設計では, 木質パネル壁の室温変動率は壁厚が大きいとコンクリート住宅なみに小さく, 今後の木質系壁の設計に指針が与えられた. 調湿設計では, 室内に湿度一定にするための必要木材量が決定できた. 木材量は4.5畳程度の室容積までは妥当性があるが, 6畳になると計算図表の精度が落ちる. 換言すれば, 空間の容積が多少増減しても湿度調湿能はほとんど同じになる. 大きな室では換気の効果もあるので今後の検討が必要である. 防露設計では, 木室系壁体内の中空層の透湿抵抗の設計条件が明らかになった. また, 全ての住宅を通じて浴室, 窓ガラスの結露防止に, 前者では金属塩の水分活性を利用する方法, 後者では界面活性剤を用いる具体的方針が確立された. 耐衝撃音設計では, 壁パネルで発生する固体音と空気音の波形分析を行った. 床の歩行音を男女で調べると, 体重とはあまり関係がなく, むしろ負の相関が見られた. 床の歩行感では, 床材料との関係で, カーペット類が歩きやすい. 木質床では歩き心地が最高とはいえないが, 歩行後の疲労感や心拍数の増加が少ない. デパートで床張りのし好調査によると, 温かさのある木質系フローリングが広く好まれている. 日本間の畳の圧縮特性も歩行感と結びつけて解析された. これらは床の設計に役立つはずである. 木質環境の生物指標による判定として繁殖を調べると, 3世代にわたって, 木製飼育箱では保温しやすく裸の状態のマウスの子供には体温保有のために適している. 人間が木質環境におかれると色などの心理作用のほかに, 木の香おり成分が呼吸によって体内にとり込まれ, やがて肝酵素を誘導し, 生体活性を表す. 以上, 21名という多数の研究者によって, 初めから学際間(建築, 衛生, 医学, 心理)で可能な議論が進められ, 木質環境の新しい設計に有用な指針が与えられた.
|