研究分担者 |
川戸 佳 東京大学, 教養学部, 助教授 (50169736)
阿久津 秀雄 横浜国立大学, 工学部, 助教授 (60029965)
木下 一彦 理化学研究所, 研究員 (30124366)
葛西 道生 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (40022595)
桐野 豊 九州大学, 薬学部, 教授 (10012668)
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研究概要 |
生体膜は膜タンパク質と脂質からなっており, 化学組成からみて非常に複雑な秩序構造である. しかし, これらの複雑な生体膜もその秩序構造を作る力に注目してやると, 意外に単純になっている. そこで本研究では生体膜に係わる秩序構造に対して, 分子内(又は分子間)相互作用の性質を軸に検討を加え, 生体膜秩序構造形成の一般的原理を明らかにすることを目的としている. 具体的には次の疑問に対する答を出す. 「膜タンパク質内のヘリックス間結合, 膜タンパク質の会合, 脂質の相分離などの秩序構造はどのような膜内相互作用によってできているのだろうか. 」 このために本研究は種々の研究技術を持つ若い研究者を集め, その研究成果を比較検討することにした. 研究会は班員以外の人の参加も得て, 昭和62年9月29・30日に行なわれた. そして主として5つの側面から構造形成の問題を議論した. (1).静的構造ー膜タンパク質の分子構造,脂質膜の分子配列の構造など. (2) 動的構造ー脂質分子および膜タンパク質の膜内流動性膜関連タンパク質の会合解離. (3).分子内(分子間)相互作用ー膜タンパク質の安定性と構造予測,脂質膜の相分離機構. (4).構造と機能の関係ーチャネルの物性と機能, 光合成系の再構成と機能など. (5).新しい解析法(装置)ー細胞電気穿孔解析装置, ジャイアントリポリームの調製法など. それぞれの小テーマ毎に研究の進み具合は異なるが, 分子内(分子間)相互作用を軸に生体膜の秩序構造を整理するという本研究の目的は充分に果されたと言える. 生体膜の秩序構造は静電結合, 水素結合および疎水性相互作用というわずかの分子内(分子間)相互作用でできており, それぞれが秩序構造に対して別々の役割を果たしていることがわかってきた. 流動的な膜の動的構造には疎水性相互作用が主として働いており, より結晶的な構造には水素結合や静電相互作用が重要なのである.
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