研究分担者 |
古沢 邦夫 筑波大学, 化学系, 助教授 (90015561)
近藤 保 東京理科大学, 薬学部, 教授 (70084415)
須沢 利郎 広島大学, 工学部, 教授 (20034291)
森本 哲雄 岡山大学, 理学部, 教授 (60032786)
北原 文雄 東京理科大学, 工学部, 教授 (10084360)
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研究概要 |
負の表面電荷を有するポリスチレンラテックスを共通試料とし、陽イオンの臨界凝集濃度を測定した結果、【Na^+】(0.7-2×【10^(-1)】M),【Mg^(2+)】(4.2-56×【10^(-3)】M)【La^(3+)】(1.8-3×【10^(-4)】M)と原子価の増加と共に臨界凝集濃度が低下し、ラテックスの凝集がSchulze-Hardy的であることがわかった。しかし数値的に開きが見られる。この原因の一つとして、測定者によって粒子濃度が異なっていたことが考えられ、今後の検討課題とする。臨界凝集濃度におけるラテックス粒子のζ電位は、【Na^+】:-28〜41mV,【Mg^(2+)】:-15〜-35mV,【La^(3+)】:-3.7〜-19mVであり一致性は良くない。Hamaker定数はNa:1〜3×【10^(-13)】erg【Mg^(2+)】:1〜4.4×【10^(-13)】erg,【La^(3+)】:1.6×【10^(-14)】〜4.1×【10^(-13)】ergの範囲となり、【Na^+】の場合に比較的一致性が良かった。 分担課題研究は多岐にわたっているので小文にまとめることは困難であるが、水中の金属酸化物の表面特性,分散,凝集に重要な影響を有するζ電位測定法の検討が進んでいる。また従来余り注目されなかった磁性粒子(ヘマタイト)の特異な凝集挙動が見出された。機能性材料の一つとして注目を浴びている低表面エネルギー化合物(フッ化黒鉛)の水中分散は至難の課題であったが、この可能性が見出されたのは意義深い。異種粒子間の凝集,付着,あるいは分離にとって重要なヘテロ凝集に関しても、従来の研究で余りとりあげられなかった疎水性相互作用の影響が検討された。高分子ラテックスの凝集,付着,白血球の貧食作用等は生体現象とその応用にとって重要であるが、この課題に関しても、従来の理論では解釈できない問題が提起され、新しい発展が期待される。これらの問題とも関連し、コロイド粒子の安定性の基礎となる電気二重層の相互作用の面においても、新しい理論の展開がなされつつある。
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