研究分担者 |
堀井 文敬 京都大学, 化学研究所, 助教授 (70124758)
伊藤 泰輔 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (40027769)
高見澤 橄一郎 九州大学, 工学部, 助教授 (10037707)
田中 康之 東京農工大学, 工学部, 教授 (80015114)
片山 健一 京都大学, 化学研究所, 教授 (60027068)
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研究概要 |
1.前年度作製した環状パラフィンをFDMS法で解析した結果,methasesis過程中で溶媒に使用したベンゼンが分子中に取り込まれることが判明した. この為,溶媒をヘキサンに変えてより高純度のC_<36>H_<72>〜C_<120>H_<240>を合成した. 一方,直鎖パラフィンに関しては,高純度のC_<27>H_<55>COClからケテン二量化反応およびWolffーKishner還元反応により純度99.98%のnーC_<27>H_<56>を合成した. 2.環状パラフィンを1%程度の溶液から結晶化させた場合,DSC曲線には融解ピークより20℃以上低温側から徐々に吸熱現象が認められる. ^<13>CNMRによる解析結果でもこの温度領域ではこれまで認められていないかなり著しい分子運動が起っていることが判明した. このことは高濃度からの溶液結晶化の際にはかなり結晶欠陥が導入されることを示すと考えられ,現在0.1%以下の溶液からの結晶化を検討している. 3.環状パラフィン(C_<120>H_<240>)とポリエチレンを十分希薄な溶液から結晶化させ,これらのfold構造を電子線回折法により検討した. その結果,環状パラフィンには規則正しく折り畳まれたfold構造に基づいてラメラ間にはほとんど回折に関与しない成分は存在しない. これに対して,ポリエチレンには厚さ数十Åの成分があり,かなり乱れたfold構造が存在することが判明した. 4.nーC_<27>H_<56>を1g/dlのヘキサン溶液から2℃で等温結晶化し,配向単結晶マットを得た. この試料の配向軸を静磁場B_0に平行または垂直にセットして固体高分解能^<13>CーNMR測定を行った. その結果,本試料には融点以下でA,A′,B,Dの4相が存在するが,A〜B相のスペクトルはほぼ同一である. しかし,D相では10^3HZ以上のganche kinkの運動が存在することが明らかになった.
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