研究課題/領域番号 |
61303012
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
高分子物性・高分子材料
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
片山 健一 京都大学, 化学研究所, 教授 (60027068)
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研究分担者 |
堀井 文敬 京都大学, 化学研究所, 助教授 (70124758)
伊藤 泰輔 京都工芸繊維大学, 化学研究所, 助教授 (40027769)
高見澤 橄一郎 九州大学, 工学部, 教授 (10037707)
田中 康之 東京農工大学, 工学部, 教授 (80015114)
北丸 竜三 京都大学, 化学研究所, 教授 (40027016)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1988
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キーワード | 環状パラフィン / 直鎖パラフィン / ポリエチレン / 結晶構造 / 拡散 / 固相転移 / 固体高分解能^<13>CNMR / 電子顕微鏡 |
研究概要 |
北丸、堀井らは最近固体高分解能^<13>CNMR法によりラメラ構造をもつポリエチレン試料には結晶相と無定形相とともに結晶-無定形界面相が存在することを明らかにした。しかし、この界面相の構造はなお十分明らかではなく、また結晶相に存在する運動性の異なる3成分についても解明は進んでいない。本研究はこのようなポリエチレン固体の未解決の問題について基礎的知見を得る目的で、高純度の環状および直鎖パラフィンを合成し、その構造と物性について熱量分析、拡散測定、電子顕微鏡、固体高分解能^<13>CNMRなどの最新の技術による研究を行い、次の成果を得た。 高純度環状パラフィンは、シクロドデセンのメタセシス重合物をGPCにより3〜12量体に分離した後、水素添加して得た。一方、純度99.98%以上の直鎖パラフィンは直鎖脂肪酸エステルをクロマト法で分取精製した後、ケテンニ量体化反応により合成できることが判明した。 ポリエチレン固体中の直鎖炭化水素分子の拡散挙動を測定し、拡散係数の鎖長依存性を検討した。その結果、拡散の活性化体積はde Gennesの蛇行拡散モデルを用いて説明するのに都合のよい値であることが明らかになった。 ポリエチレン単結晶およびそのモデル物質としての環状パラフィン結晶の電子顕微鏡観察を行った。その結果、ポリエチレン単結晶表面には乱れた表面相が存在することが明らかになった。また、エピタクシー結晶化の手法を用いてポリエチレンの折りたたみ面およびその規則性などについても明らかになった。一方、n-C_<27>H_<56>結晶及び環状C_<60>H_<120>結晶の固体高分解能^<13>CNMR法によりこれらの固相転移と各相における分子運動の詳細を明らかにした。特に、C_<60>H_<120>結晶では2種の新しい固相転移を見出した。その一つは単斜晶系から斜方晶系への転移で、他方は斜方晶系からキンク拡散結晶への転移である。
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