研究分担者 |
平井 英史 東京理科大学, 工学部, 教授 (90010751)
野桜 俊一 大阪大学, 理学部, 教授 (90028085)
国武 豊喜 九州大学, 工学部, 教授 (40037734)
井上 祥平 東京大学, 工学部, 教授 (20010762)
伊勢 典夫 京都大学, 工学部, 教授 (00025868)
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研究概要 |
本総合研究は17名の高分子科学研究者により2年間にわたり集中的に分子情報材料高分子の設計と合成という研究課題のもとに行われた. 情報材料として高分子を用いる場合, 高分子を精密設計して合成し, その高分子自体に情報機能を有する官能基を導入しておくか, もしくはその高分子に低分子の情報機能分子を混入させることになる. 高分子の精密設計に関しては, 高分子鎖長(一次元), 高分子の二次元構造, 高分子の立体構造, そして集合状態が規制の対象となる. 本総合研究においては, Langmuir-Blodgett法を用いた高分子の二次元規制に関して大きな進歩が認められた. 情報機能に関しては, ポルフィリン金属錯体やビオロゲン分子を高分子に混入させた場合の機能発現機構, とくに光誘起電子移動の詳細な研究が行われた. 情報機能分子を高分子に混入させる場合の手法についても精力的研究が行われた. すなわち, 両親媒性の長鎖脂肪酸基を有するシクロデキストリンの単分子膜化と累積膜化, 及び筒状構造への機能分子の取り込み, 一次元トンネン構造を有する高分子の合成と機能分子の包接化などが研究されている. また, 高分子の環境を変化させることによるイオン伝導性とイオン選択性の規制に関する研究も情報伝達の効率化という点で興味深い研究と言える. 情報材料に賦与される機能としては情報の発生, 伝達, 応答, 貯蔵が挙げられるが, 高分子の構造を光で変化させ, 光応答材料として高分子を機能させる研究も本総合研究においてとり上げられた. 本総合研究は昭和61年度に設けられた文部省科研費, 第1回「大学と科学」公開シンポジウムに採択され, 「新しい材料」の中のBセッション「情報機能をめざした分子設計」と題して公開発表した. その内容は, 「新しい材料」という成書にまとめられている.
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