研究課題/領域番号 |
61303015
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
丸茂 晋吾 名大, 農学部, 教授 (30023394)
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研究分担者 |
佐々 武史 山形大学, 農学部, 教授 (80023456)
川合 源四郎 野田産業科学研究所, 主任研究員 (30072309)
桜井 成 理化学研究所, 農薬化学第三研究室, 副主任研究員 (10087562)
鈴木 昭憲 東京大学, 農学部, 教授 (90011907)
津田 盛也 京都大学, 農学部, 助教授 (10026578)
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キーワード | 生殖制御物質 / 胞子形成物質 / 形態形成 / 細菌の性フェロモン / 接合フェロモン / 発茸誘導物質 / 分生子殻形成制御物質 |
研究概要 |
本年度は微生物の生殖制御物質の単離と構造決定を中心に以下の研究成果をあげることができた。丸茂はAspergillus oryzaeの生産するフィアロ型分生胞子形成物質を培養濾液180lから65μg単離した。本物質は5μg/discで有意な活性を示し、分子量219の新規含窒素化合物であることを明らかにした。 鈴木はStreptococcus faecalisのプラスミド【_pPD1】と【_pAD1】の接合伝達に関与する性フェロモン【_cPD1】と【_cAD1】を単離、構造決定した。これらはいずれもアミノ酸8個からなる疎水性の強いペプチドで、比較的近似した構造を有しながら交差活性は示さず、この識別機構の解明は興味ある問題である。また、プラスミド【_pPD1】保有菌の培養液から【_cAD1】の活性を阻害する物質;PD1を単離、構造決定した。桜井はSaccharomyccs kluyveriの接合型α細胞が生産し、S.cerevisiacのa細胞に性的凝集能を誘導する3種類のペプチド【α^(SK)】pheromonesの単離、構造決定に成功した。主活性成分【α^(SK2)】は13個のアミノ酸残基からなり、【α^(SK1)】は【α^(SK2)】のN末端Trpが修飾された構造を、【α^(SK3)】は【α^(SK2)】のC末端Tyrを欠いた構造を有していることを明らかにした。川合はスエヒロタケSchizophyllum communcの子実体誘導物質として数種のセレブロシドを単離、構造決定した。さらにセレブロシド類縁体の構造と活性を比較することにより、9位メチル基または8Z二重結合を持つN-アシルスフィンゴイドが活性発現に必須な構造であることを明らかにした。また、佐々はリンゴ輪紋病菌Macrophoma kuwatsukaiの分生子殻形成阻害を指標に糸状菌培養物をスクリーニングした結果、活性物質としてcitrininを単離、同定した。また、分生子殻形成菌体に特徴的な抗菌物質を単離し、pychnophorinと命名しその化学構造を決定した。来年度は生殖制御物質の単離と化学構造の解明をさらに進めるとともに個々の結果の体系化に努力しながら作用機構の解明に着手したいと考えている。
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