研究概要 |
本研究の成果として以下に述べるように微生物全般にわたる生殖器官形成機構の活性物質を基礎とした解明に大きな貢献をなすことができた. 丸茂はAspergillus oryzaeとPenicillium funiculosumの生産するフィアロ型分生胞子形成物質をそれぞれ極微量単離した. これらの物質は1〜5μg/discで有意な活性を示し, P.funiculosumの活性物質は光誘導胞子形成物質としてはじめて単離されたものである. 鈴木はStreptococcus faecalisのプラスミドpP^<とpA>の接合伝達に関与する性フェロモンcP^<とcA>を単離・構造決定した. これらはいずれもアミノ酸8個かならるペプチドで比較的近似した構造を有しながらも交差活性はなく, この識別機構の解明に興味ある問題を示した. 桜井はSaccharomyces kluyveriおよびS.exiguusのそれぞれのα細胞から, S.cerevisiaeのa細胞に性的凝集能を誘導するαフェロモンとしてS.kluyveriからα^<sk1>, α^<sk2>, α^<sk3>フェロモンを, S.exiguusからα^<se>フェロモンを単離・構造決定した. これらの活性ペプチドは互いに交差活性を示し, α^<sk2>とα^<se>フェロモンのアミノ基末端に共通するアミノ酸配列部分が存在することから, これらホモロジーな配列部分が活性発現に重要であることが示された. 川合はスエヒロタケの子実体誘導物質として数種のセレブロシドを単離・構造決定した. さらにその類縁体の構造と活性の考察から9位メチル基と8Z二重結合を有するスフィンゴイドが活性発現に必須であることを明らかにした. 佐々はMacrophoma kuwatsukaiの分生子殻形成阻害物質として6-methylpurineを見いだし, さらに光条件下でのみ分生子殻形成を阻害する物質としてオオハナウドの実より, bergaptenを単離同定した. 津田はCochliobolus miyabianusのメラニン合成欠損変異株(brm株)を用いてメラニン合成欠損部位を明らかにすると同時にその遺伝子解析を行った.
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