研究分担者 |
名取 俊二 東京大学, 薬学部, 教授 (50012662)
坂口 文吾 九州大学, 農学部, 教授 (30038161)
鈴木 義昭 基礎生物学研究所, 発生生物学研究系, 教授 (50132733)
堀田 凱樹 東京大学, 理学部, 教授 (30010036)
岡田 益吉 筑波大学, 生物科学系, 教授 (60015534)
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研究概要 |
昭和62年度は, 前年度の研究成果にもとづき, ショウジョウバエ, カイコ, ハエ, ハチなどの昆虫を用いて, 種々の細胞工学的手法により遺伝子発現に関する研究を行い, つぎのような成果を得た. 1.体外培養系を用いた研究では, 未分化な胚細胞から分化した成虫気管構造の形成過程を微細構造の上から詳細にしらべることができ(黒田), copiaの遺伝子導入系を確立してウイルス粒子産生を証明し, その塩基組成がウイルス粒子産生に関連することを見出した(三宅). 2.卵の前極細胞質の後極への移植では, 双頭胚が得られ, 前年度得られた結果と合わせて, 3種の細胞質因子モデルを提案した(岡田). また, 間接飛翔筋特異的なアクチン遺伝子の1アミノ酸置換変異を作成し, P因子法で染色体に導入してその生理的効果をしらべた(堀田). 動く遺伝子トランスポゾンtomについては塩基配列を決定し, 挿入地点にATATの特異的塩基配列があることが分り, これを複眼形成遺伝子に挿入した(西郷). 3.遺伝子クローニングにより, トランスポゾンP因子の1部欠失したものがトランスポゼース活性の抑制タンパク質を産生していることを見出した(山崎). また, ショウジョウバエのホメオボックス配列をプローブとして, カイコのホメオチック遺伝子をクローニングし, その塩基配列を決定し, この遺伝子の発現は胚の体節化, 器官形成期, 幼虫の胸節, 腹節で発現することを明らかにした(鈴木). プローブDNAと試料DNAとの分子雑種作成の後, プローブに結合する二次プローブを作用させ, 特異配列のDNAを感度よく検出する方法を開発した(小穴). また, 卵形異常系統ではその卵構成タンパク質の翻訳活性の低下を観察した(坂口). 4.センチニクバエの生体防御タンパク質のcDNAクローンの単離に成功し, その全塩基配列を決定した(名取). カイコの培養細胞および後部絹糸腺の器官培養系への遺伝子導入を行った(前川)
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