研究分担者 |
岩下 嘉光 宇都宮大学, 農学部, 教授 (20007884)
小林 迪弘 名古屋大学, 農学部, 助手 (60111837)
川瀬 茂実 名古屋大学, 農学部, 教授 (90023382)
渡部 仁 東京大学, 農学部, 助教授 (10011868)
松本 継男 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (40107355)
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研究概要 |
人工飼料を用いたカイコの新しい飼育法の確立を目標として,全齢期間の給餌回数を2回で行う方法を考案し,これによる繭生産を年間を通して行つた. その結果,カイコの発育成長(揃い),体重,繭調査成績および繭質については常法の3回給餌の場合と差異はみられなかった. また蚕病の発生は全くみられなかった. また1ー3齢期間を各種の人工飼料を用いて飼育し(1回の給餌法)4齢起蚕の細胞貭多角体病ウイルス(CPV)に対する感染抵抗性も調査した. 一方カイコがCPVに感染した場合,どのような生体防御反応が認められるかについて調査したところ,昆虫の生体防御桟構の中で主要な役割を持つレクチン様物貭がウイルスに感染したカイコの血液中に蓄積することがウエスタンブロッティング分析により判明した. さらにCPVに感染したカイコにEnterobacter SPを接種すると,ウイルス,細菌それぞれ,単独に接種した場合に比べてカイコの斃死率が上昇した. この原因の一つとしては,ウイルスに感染したカイコ中腸円筒細胞内での細菌の増殖によることが考えられた. NPVに対する感染抵抗力については人工飼料育と桑育の場合で差が認められるが,これはカイコの消化液中に存在するウイルス不活化作用を有するプロテアーゼによることが推案された. 濃核病ウイルス(DNV)の増殖は高温(35℃)で抑制されるが,これはウエスタンブロッテイング分析の結果,DNV増殖組識でウイルス構成タンパク貭の蓄積が抑制されるためと考えられた. 伝染性軟化病ウィルス(IFV)の増殖のグアニジンによる抑制を調査したところ,カイコが人工飼料とともにグアニジンを摂食している場合は,ウイルス構成タンパク貭の蓄積が認められず,抑制効果がみられたが,眠期以後にウイルス構成タンパク貭の蓄積がみられた. カイコのウイルス感染と重要な関連をもつと思われる中腸運動について調査した.
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