研究課題/領域番号 |
61304022
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
永田 洋 三重大, 農学部, 教授 (90024554)
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研究分担者 |
新里 孝和 琉球大学, 農学部附属演習林, 助手 (50045118)
池本 彰夫 高知大学, 農学部附属演習林, 教授 (00093948)
永森 通雄 高知大学, 農学部, 教授 (60036704)
赤井 龍男 京都大学, 農学部附属演習林, 助教授 (90026625)
船越 三朗 北海道大学, 農学部附属演習林苫小牧地方演習林, 助手 (60001476)
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キーワード | 休眠 / 日長 / 低温 / 生態型 / 分布限界 |
研究概要 |
本年度、樹木の冬芽の休眠導入および解除条件についてはポプラで、生育と日長生態的分布特性についてはタブノキで実験、調査を行った。ポプラについては、冬芽(頂芽)は、休眠の最も深い時期でも、30℃連続光で開芽する。しかし、25℃以下では連続光下でも開芽しない時期がある。休眠導入期と解除期では、25℃で同じように開芽しても、20℃以下での開芽様相は大きくことなり、両ステージの休眠のあり方のちがいを示唆している。冬芽は、25℃でみると、休眠導入期の初期では、暗所で開芽できるが、やがて冬芽は光感応性を失って、連続光下でも開芽できなくなる。野外での冬芽の状態をみるとき、冬芽のうごきを支配しているのは、休眠の深さと気温との相互関係であろう。休眠の深い時期は10月末から11月末であり、うごきにくい時期、すなわち開芽抑制度の高い時期は11月末から1月中旬となり、耐冬性の高い時期と合ってくる。凍結処理は、休眠を解除する効果もあるが、10〜15℃(野外で開芽するときの気温)でみると、凍結は開芽を抑制し、休眠を深める働きをする。タブノキについては、西表、沖縄本島、奄美大島、鹿児島、三重、千葉、岩手の各地で採集した種子から育てた苗木をもちいて、実験調査を行った。まず、三重県津市三重大学構内における各地産苗木の春の開芽は(正確には冬の間に開芽、または、開芽前に、霜にあって枯死するものがあるので、霜よけされた状態においた)、最も早い西表産の苗木は前年12月から始まり、沖縄本島、奄美産を含め、亜熱帯産の苗木は冬の間に開芽を始めてしまう。また、鹿児島産の苗木も、三重,千葉,岩手産の苗木が4月以降に開芽するに対して、3月には開芽するものがあらわれ、明らかに暖地産の苗木の傾向をみせた。各地産の開芽時期の違いは、冬芽の休眠の性質に違いがあるためと考えられるが、今後の検討課題である。
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