研究分担者 |
岡野 健 東京大学, 農学部, 教授 (30011927)
深沢 和三 北海道大学, 農学部, 教授 (40001408)
則元 京 京都大学, 木材研究所, 助教授 (20027163)
藤田 稔 京都大学, 農学部, 助教授 (60026599)
佐伯 浩 京都大学, 農学部, 教授 (40026498)
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研究概要 |
昭和62年10月16日と17日の両日,京都大学農学部林産工学教室および同木材研究所において,研究打合せ会議を開催した. この会議において,木材表面の木理パターンや年輪などのマクロレベルの周期構造,広葉樹の道管の配列と分布,針葉樹の仮道管配列などの木口断面に現れる細胞配列や,板目断面に現れる放射組織などのミクロレベルの周期構造,そして細胞壁成分分布の周期的特異性について討議した. そしてこのような観察対象における特徴的な周期的特性が,木材形成の生物学的特異性とどのような関係をもつのかについて総合的討論を行なった. そして,生物材料の特性として,木材形態が明確な周期性と非周期とのはざまの,あいまいな,いわゆるゆらぎの周期性を示し,この材料のありまいさが,人間の生活環境にゆとりをもたらす長所であるとの共通的理解に達した. そしてこのあいまいな周期性をどのように数量化して解析するのかという課題について,各分担研究者がそれぞれの解析方法を紹介し,それぞれの方法の特徴,長短所について意見交換した. そしてこの解析方法の一つとして,ヘリウムーネオンガスレーザー光束の回折現象を利用した,木材組織形態の二次元的フーリエ変換法について,実際の装置を用いて,解析の手順と結果の評価法について,研究分担者が持ち寄った試料で試験した. このようにして,木材のもつあいまいな周期性の解析方法に共通性,一般性をもたらし,分担課題の結果の比較対照が可能となし得る方策を具体化する目途を得た. 一方,木材の周期的構造が,音響的性質をはじめとする木材の材料学的特性におよぼす影響について検討した. そしてこれまで別個に解析されてきた組織形態学的試験法と,材料学的試験法を,まったく同一の試験片を用いて実行することが重要であるとの結論を得た.
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