研究概要 |
細胞識別に関与する糖脂質の単離及び構造研究を行った。ヒトデ,二枚貝海産動物,モルモット,大腸菌(星,板坂,林,永井,脊山,飯田,内貴)等を研究材料に、GCIMS,NMR等を用いて糖脂質の構造解析を行い、各々において構造をを決定した。さらに細胞膜系における分布、存在様式、作用機作を調べた。味覚研究の一環として、動物の舌上皮に分布する複合糖質特にガングリオシドの濃度と分布を検討した(大橋)。数種のほ乳動物腎尿細管由来の培養細胞を用いて、低張および高張培養系における細胞膜表面酸性糖脂質量の変化を調べた(石塚)。糖脂質の生合成に関与する酵素、G【b_3】Cerの生合成に関与するα1-4βGal転移酵素(谷口)、【GM_3】の合成酵素であるLacCer-シアル酸転移酵素(桃井)、牛脳【GM_1】、βガラクトシダーゼ(宇田)について抽出、精製、性質を検討した。各種近交マウス臓器の糖脂質解析を通じて、これまでに5つの変異株を見い出した。これらを生み出す原因となる4種類の遺伝子は常染色体性の遺伝子の何等かの欠損を持つものと考えられた(山川)。エンドグリコシダーゼを用い、ネオ糖脂質の酵素的合成を可能にした(山形)。糖脂質性の胎児性坑原のうち特にSSEA-1坑原およびその誘導体はヒト癌における存在と量を推定した(神奈木)。ラット脳シナプス脳組織の加令変化を調べた。コレステロール、リン脂質比は加令とともに上昇し、膜ガングリオシドは特に若令期に著しく減少し、膜流動性の変化とも一致した(安藤)。Chronic relapsing ataxic polyneuropathyの経過を示すIgM paraproteinemiaの患者血清中に抗【GM_1】、抗体を見い出した(宮武)。遺伝性高脂血症ウサギに対するサルファタイドの抗動脈硬化作用を調べた(武富)。ポリラクトサミン直鎖構造のネオラクト系ガングリオシドに、無血清培養系のHL-60細胞を成熟顆粒球への分化誘導する活性のあることを発見した(斉藤)。
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