研究課題/領域番号 |
61304036
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
浦野 順文 東大, 医学部, 教授 (20009989)
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研究分担者 |
林 肇輝 岡山大学, 医学部病理学教室, 助教授 (70033222)
北村 幸彦 大阪大学, 医学部腫瘍代謝, 教授 (70028520)
平嶋 邦猛 埼玉医科大学, 第一内科学教室, 教授 (00165169)
橋本 紀三 九州大学, 歯学部・口腔病理学教室, 教授 (80037499)
関 正利 放射線医学総合研究所, 生理病理, 部長 (90163089)
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キーワード | 造血微小環境 / 骨髄間質細胞 / 脾細胞 / 間質細胞コロニー / 肥満細胞 / 造血因子 / CFU-F |
研究概要 |
造血微小環境の意義について動物およびヒトについて検討した。胎生18日にC3H系マウスでは骨膜間葉糸細胞が髄腔中に網状の格子を形成し、やがて洞間,洞周細網細胞に分化し、微小環境は整備される。致死量の放射線照射後の大動脈吻合パラビオシスラットでは、残存細網細胞に健常動物由来の造血細胞が補促されて再生が始まる(林)。肥満細胞が遺伝的に欠如するWBB6FIW/WVマウスの腺胃の筋層内に肥満細胞を注射すると、筋層では結合組織型、粘膜層のそれは粘膜型となって定着し、結合組織型の粘膜型への変化が確認された(北村)。マウスの骨髄由来の間質糸コロニーのCSF産生能を、細菌内毒素とハイドロコルチゾンが相乗的に刺激したが、脾由来のそれはこの両者によって相乗的に阻害された(森)。マウスの養育細胞と幡種細胞を老若組み合わせて培養すると、老マウス由来の養育細胞は骨髄細胞に対して抑制的に働いた(井上)。マウスL-8313細胞は増血因子産生能をもったリンパ腫でこれをマウスへ移植すると、宿生の造血細胞が類白血病様に反応性増殖を続けた(関)。MPSV誘発マウス骨髄増殖症候群ではCFU-E、BFU-Eの増殖の主座は終始脾に止るが、CFU-GMは脾から骨髄に移動する(浦野)。ヒト骨髄間質細胞株(KM-102)のBPAについて精製、造血細胞への作用とアミノ酸配列の分析を行なった(針ケ谷)。ヒト前脂肪細胞培養上清の造血因子は顆粒球糸および赤芽球糸前駆細胞に対して、活性を示すが、骨髄巨核球糸細胞に対しては分化を誘導した(丹下)。ヒト正常、トロトラスト注入患者、再生不良性貧血患者の骨髄細胞について間質細胞の役割を検討すると、CFU-Fは、BFU-EおよびCFU-Eとは有意の相関があるが、CFU-Cとはそれがない(平嶋)。動物およびヒトで間質糸細胞が臓器,年齢によってその生物学活性が異なり、造血細胞を制御していることを明かにした。
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