研究分担者 |
三浦 悌二 帝京大学, 医学部, 教授 (90082073)
島 正吾 藤田学園保健衛生大学, 医学部, 教授 (40084511)
菊池 正一 順天堂大学, 医学部, 教授 (60052924)
大沢 基保 帝京大学, 薬学部, 助教授 (30129978)
井村 伸正 北里大学, 薬学部, 教授 (70012606)
MANABE Shigeo Department of Hygiene & Prevertie Medicine, Faculty of Medicine, University of T (90165928)
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研究概要 |
研究内容は, A.生体レベルでの金属の免疫反応・応答への影響, B.免疫細胞レベルでの金属の免疫毒性とその解析, C.生化学レベルでの金属の免疫系影響とその機序, D.金属の免疫毒性に関する生体指標の確立への応用について行われ, 次の結果を得た. A.生体レベルでの免疫影響:日本脳炎ウイルス感染に対するマウスの受身免疫による発病阻止は, 無機水銀, 鉛で低下するが, 有機水銀, カドミウムでは低下しない. 低下は感染防御に関与する細胞系の機能の低下による. 又, 鉛は抗体産生の低下と遅延を起こす. 一方, 鉛の免疫毒性は, 10°C低温環境順化で軽減する. カドミウム暴露マウスでは血清中に自己抗体である抗核抗体が高率に検出されたが, この時点でカドミウム中毒の所見はみられず, 抗体産生は鋭敏な反応である. 抗体産生は経口, 皮下投与でもみられた. B.免疫細胞レベルでの免疫影響:in vitroで白血球の活性酸素放出を, メチル水銀, 無機水銀, 銀が最も低濃度で抑制した. C.金属の免疫影響の機序:有機スズを用いて検討したところ, 有機スズは胸腺萎縮をおこし, また白血球の活性酸素放出, 走化性, 肥満細胞のヒスタミン放出, 刺激物による炎症など免疫に関係する刺激応答を低濃度で抑制した. その機序は, 標的細胞の膜への刺激に対する膜リン脂質の代謝回転阻害による膜からのアラキドン酸遊出阻害であった. D.金属の免疫毒性のヒトでの指標:ベリリウム作業者での検査で, 陽性率は, 皮膚パッチテスト>リンパ球幼若化試験>マクロファージ遊走阻止試験の順で大であった. またジルコニウムはマクロファージを介して生体の免疫応答系を増強する. 白金酸によるアレルギーには, OPテストが有効である. 以上, 金属の免疫毒性に関し, その指標確立の基となる種々のデータが得られ, 一部ヒトでの応用も可能となった.
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