日本人の生活と労働の変革に伴うエネルギー代謝の構築に関する研究

1988 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 61304041
• 研究機関: 愛媛大学
• 研究代表者: 渡辺 孟 愛媛大学, 医学部, 教授 (30039482)
• 研究分担者: 堀 清記 兵庫医科大学, 教授 (80068452) ; 新山 喜昭 徳島大学, 医学部, 教授 (90035387) ; 鈴木 継美 東京大学, 医学部, 教授 (80009894) ; 菅原 和夫 弘前大学, 医学部, 教授 (80136788) ; 臼谷 三郎 弘前大学, 医学部, 教授 (90003350)
• キーワード: 基礎代謝 / 基礎代謝率 / 除脂肪体重 / エネルギー所要量 / 安静時代謝 / 日常身体活動

研究概要

新山は妊婦8人(平均年齢29歳)について妊娠4ヶ月より毎月BMRを測定。妊娠中のBMR(1日量)の変化は4〜7ヶ月迄直線的に増加、以後著変なく妊娠前の約23%増しとなった。体重当たりのBMRは4ヶ月23.0、7ヶ月25.2と増え、8、9、10ヶ月で各々23.9、23.8、23.2となった。堀は思春期男子29名(年齢13〜15歳)について測定。基礎代謝は加齢と共に減少するが、思春期の体重の増加又は、身長の伸びが急激に大きくなる時期においては、基礎代謝量(体重又は体表面積当たり)の値も大きくなることがあり得ると推察された。渡辺は40〜60歳代の男女計69名(男25名、女44名)を追加し、地域・職業・肥満・身体活動度等と基礎代謝との関連について検討した。小林は比較的活発な身体活動状況にあるゲートボール愛好者(年齢60歳以上)、男性24名、女性8名について測定。基礎代謝値は体重及び体表面積当たり共に著しく高い値を示した。このことは日常の身体活動量が基礎代謝量に影響を及ぼすことが推察された。臼谷、菅原は高齢者の基礎代謝値の個人差が大きいことから、80歳代の男性9名、女性11名について測定。漁村居住者と市街地居住者とを比較検討したが両群間に差は認められず、また性差もこれまでの測定と同様に認められなかった。鈴木は肥満程度の異なる134名の成人(男66名、女68名: 年齢20〜71歳)ついて測定。体構成の異なる場合の安静時代謝(RMR)ついて除脂肪体重当たりのRMRは、男女共に肥満群と対象群に差は認められず、肥満によるRMRは低下していなかった。カリウム40から推定したLBMと皮脂厚から推定したFFMとの相関は高く、これらの値から算出される脂肪割合についての相関係数は0.4〜0.5であった。

研究成果

• [文献書誌] Kashiwazaki,H.,et al: J.Nutr.Sci.Vitaminol. 34. 399-411 (1988)
• [文献書誌] 渡辺孟: 医学のあゆみ. 147. 118 (1988)
• [文献書誌] 橋本勲、小林修平、山川喜久江: 日本栄養食糧学会誌. (1989)
• [文献書誌] 矢島美恵子 他: 第10回日本健康増進学会. (1988)
• [文献書誌] 橋本勲 他: 日本肥満学会記録. 8. 189-191 (1988)
• [文献書誌] 廣瀬昌博 他: 日本衛生学雑誌. 44. (1989)
• [文献書誌] 日野精二 他: 日本衛生学雑誌. 44. (1989)
• [文献書誌] 秋田尚見 他: 日本衛生学雑誌. 43. 538 (1988)
• [文献書誌] Tsujita,J,et al: J.Physiol.Soc.Japan. 50. 634 (1988)
• [文献書誌] Tohori.M,et al: Interational Journal of Biometeorology. 32. 220 (1988)
• [文献書誌] 小林修平: "エネルギー摂取・消費の現状と問題点 「エネルギー代謝と栄養」(田中武彦 編)" 光生館, (1989)