研究概要 |
全国18大学・病院より蒐集した感染症原因菌の薬剤感受性について検討した. 黄色ブドウ球菌ではメチシリン耐性菌MRSAが44%を占め, この耐性菌に各種βラクタム薬は無効であるが, ハベカシンのMIC_<50>が0.39μg/mlと最も抗菌活性が強く, オフロキサシン,ミノサイクリンのMIC_<80>が1.56μg/mlで, ミノサイクリンにやや耐性化傾向がみられている. 呼吸器感染症の起点菌のなかでは, βラクタマーゼ産生性インフルエンザ菌が17%をしめ, アンピシリンの感受性が1.56μg/ml以上に上昇していた. グラム陰性桿菌の感受性検査も進行中である. 大腸菌は広域ペニシリンでの耐性化傾向が顕著でピペラシリンのMIC_<80>は25μg/mlであるが, セフェム剤やアミノ酸糖体薬に対する感受性は良好であり, 緑膿菌は各種第III世代セフェム系抗生物質にMIC_<80>が3.13〜6.25μg/ml,MIC_<80>が6.25〜12.5μg/mlと半数近くが耐性菌であったが, アミノ酸糖体薬は抗菌活性を保持しており, トブラマイシンのMIC_<50>とMIC_<80>はそれぞれ0.78μg/ml,1.56μg/mlであった. 感受性試験成績と, 感染症原因菌の分離状況をコンピューターにin put中であり, 本年は多角的な解析を行う予定である.
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