研究課題/領域番号 |
61304045
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松本 脩三 北海道大学, 医学部, 教授 (80000933)
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研究分担者 |
谷口 昂 金沢大学, 医学部, 教授 (10019888)
小林 登 国立小児医療研究センター, 病院長 (50009916)
鴨下 重彦 東京大学, 医学部, 教授 (60048973)
三河 春樹 京都大学, 医学部, 教授 (00026866)
矢田 純一 東京医歯科大学, 医学部, 教授 (60057502)
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キーワード | NK細胞 / Fcεレセプター / B細胞分化 / T細胞分化 / 胸腺ナース・セル / 一次抗体産生能 / T細胞レセプター / リンパ球走化能 |
研究概要 |
〔研究成果の概要〕新生児のNK活性は低いが、これにIL-2を添加するとその活性が著明に増加することは周知のとおりである。しかし、早産児のIL-2添加時のNK活性は、IL-2産生能が正常範囲にあるにも拘わらず低値にとどまることが知られている。従って新生児のNK細胞にはIL-2反応性のないサブセットがあり、それが新生児とくに早産児で低い可能性が考えられる。放射線に対する感受性からNKの多様性を追うと、IL-2反応性NKは放射線抵抗性であり、IFN-γ反応性NKは放射線感受性であることが知られ、新生児期のNKの欠陥は主として後者にある可能性が推定された。同時に新生児期のIFN-γは、特異な産生調節機構をもつことも明らかにされた。一方、胸腺の発達過程で問質細胞がT cellの発達、就中MHC restrictionの発現に大きく影響するものと考えられている。培養系にthymic nurse cell(TNC-E)を加えることにより、それらのDNA合成能を長時間保持することが可能になることが明らかにされた点は、この意味からいって重要な結果のひとつであると考えられる。この際同系・同種いずれのTNC-Eでも利用されうることも同時に知られた。食細胞に関しても幾つかの検討が行なわれた。好中球の粘着にはLFA-1、MAC-1、【P^(150,95)】の3種の膜糖蛋白が関与しているが、この中、粘着機能に直接関係している因子が何かは未だ確定していない。そこで粘着活性の低い新生児白血球を対象として、β-サブユニットの発現を観察したが、この蛋白の定量値には成人との間で差は認められず、この点については今後細胞骨格系や血清因子についての検討が必要と考えられた。 以上のほか、末梢リンパ球と単球のFcεレセプター発現調節機構、IL-2、IL-3およびそれらの反応性細胞、あるいは一次性の特異抗体産生反応に関する生後の発達に関しても、いくつかの結果が得られており、次年度にそれらを集中的に検討し、成果の確認を行う予定である。
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