研究概要 |
Zellweger症候群は,細胞内小器官であるベルキシゾームの欠損に基づき,重篤な中枢神経症状,特異な顔貌,肝障害等を呈する遺伝病であり,その病因は未だ不明である.本研究ではペルオキシゾームに局在する極長鎖脂肪酸代謝に障害があることから,ペルオキシゾーム特有のβ酸化系酵素(acylーCoAo瑳idase,bifunctional protein,3ーketoacylーCo A thiolase)と不欠和脂肪酸代謝に関与する2,4ーdienoyl Co A reductaseについて檢索した結果,本症々例の肝ではいずれの酸素も活性を檢出し得なかった. さらにWestern blot法を用いて三等酵素蛋白を調べたがいずれも檢出し得なかった.対照としてミトコンドリヤ局在性脂肪酸化系の9種の酵素を調べた所, 患者肝でこれらの酵素の活性,蛋白量に異常は見出されなかった.そこでペルオキシゾーム形成自体が本症の病因と考えられ,ペルオキシゾーム膜蛋白の解析を行なった結果,分子量70kDaと22kDaの著明な減少が見出された.次に患者由来の培養線維茅細胞を用いて〔^<35>S〕ーメチオニンを用いて2時間パルスラベルし,6時間,24時間チェイスしたところ,患者細胞では両膜蛋白は合成されており一次的な合成障害は認められなかった.そこで膜ポリペプチドの構造異常の可能性が推測される.このことを解析するためラット肝cDNAライブラリーより70kDaポリペプチドのcDNAのクローニングを行ないその構造を決定した.今後このcDNAを用いて本症患者のペリオキシゾーム膜蛋白の分析を進め,本症の一次的病因を究明する.
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