研究分担者 |
中島 伸之 国立循環器病センター, 心臓血管外科, 部長 (40241947)
田辺 達三 北海道大学, 医学部・第二外科, 教授 (50000956)
江口 昭治 新潟大学, 医学部第二外科, 教授 (90018367)
橋本 明政 東京女子医科大, 学・附属心臓血圧研究所外科, 教授 (90075185)
稲垣 義明 千葉大学, 医学部・第三内科, 教授 (80009109)
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研究概要 |
解離性大動脈瘤はその発生,進展の機序が必ずしも明らかでなく、またその病態,病像も複雑である。臨床的立場から見ても、型や病期に応じて適切な治療方針,治療方法を選択する必要があり、病理学的,生理学的の両側面からの基礎的研究を基盤に、内科,放射線科,外科を含めた集学的な臨床研究が重要であり、その第一歩が踏み出されたものと考える。 本症の診断に対する研究として、千葉大稲垣らはX線CT,MRIを用い、また国立循環器病センター高宮らはDSA,MRIを用い、その評価を行った。その結果、MRIは大動脈弓部の形態,血栓層の描出,真腔・偽腔の描出に優れ、またX線CTで経時的瘤拡大と危険因子の相関を検出している。山梨医大上野らは経食道超音波断層法が大動脈解離の解析,診断に有用であるとした。 内科治療に関する研究はいずれも本症治療の基礎となる降圧療法における降圧剤の選択と評価に関するもので、秋田大金沢ら、九州大中村らによって行われた。いずれも、Ca拮抗薬,β遮断薬,降圧利尿薬,硝酸薬(ニトログリセリン,ニトロプルシッド),アンギオテンシン変換酵素阻害薬などの多剤併用効果が示された。 外科治療に関する研究で、慶應大井上らは、外科治療の基礎となる流体力学的検討を二重管解離モデルで行い、兵庫医大宮本、東京女子医大橋本らは脊髄麻痺防止法の実験を、岡山大寺本らは上行大動脈解離犬の作製,実験犬の病理学的,病態的検討を行い、札幌医大小松らは本症手術に用いる人工血管処理法について発表した。臨床的検討において、新潟大江口らは主としてリング付きグラフトの成績を、北海道大田辺らはIvalon sponge occlusion法を、神戸大中村ら、国立循環器病センター中島らは全般的外科治療成績を発表した。
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