研究分担者 |
本庄 厳 京都大学, 医学部, 教授 (00077653)
柳田 則之 名古屋大学, 医学部, 教授 (00023804)
中野 雄一 新潟大学, 医学部, 教授 (80018316)
本多 芳男 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (40056479)
渡辺 〓 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (80039479)
|
研究概要 |
本年度は前年度において確立された種々の検査手技や研究手段を臨床的に疾患に応用し,その疾患の成因解明の努力がなされた. 1.耳管鼓空気流動態法が検査操作の工夫によりさらに客観的な耳管機能検査法となった. この方法を用い,真珠腫を含めた種々の中耳疾患における耳管機能が検討され,その中からFloppy tubeの概念が確立された. 2.inflation-deflation testにより滲出性中耳炎患者と真珠腫症患者との耳管機能が測定された. その結果,滲出性中耳炎では通気圧は正常だが換気能が障害されており,その障害部位は耳管の咽頭口側であることが判明された. 又真珠腫症では陥凹型では耳管機能は良好だが,穿孔型で不良であった. 3.小児と成人の慢性中耳炎耳における側頭骨乳突蜂巣の発育について検討し,中耳に化膿性炎症が早期に発症するほどその発育は抑制されること,又治療により早期に炎症が消退すれば蜂巣は再発見することが判明された. 4.滲出性中耳炎鼓膜の病理組織像が詳細に検討され,固有線維層の破壊・消失の程度により病期が決定された. 5.小児滲出性中耳炎における中耳・耳管系の繊毛性排泄能および貯留液のレオロジー的性質が測定された. その結果,小児滲玉性中耳炎においては耳管よりも鼓室側に排泄の障害があると考えられ,又貯留液のレオロジー的性質は本症の予後を左右する重要因子である事が判明された. 6.その他として人乳突蜂巣の粘膜下毛細血管の電顕的観察や滲出性中耳炎例の側頭骨の組織学的検索もなされた.
|