研究課題
本年度は当研究班の最終年度であり、主として3年間の研究の結論を出し、それを総括する努力がなされた。1)耳管機能検査法の確立…耳管気流動態法(TTAG)は従来Patternにより分析していたが、それを数値化(定量化)させる努力がなされ一定の結果を得た。音響耳管検査法も数多くの症例の検討により、その評価が確立された。一方鼓膜穿孔症例に有用なinflation-deflation testについては、真珠腫症を含む多数の慢性中耳炎症例の検討から、その病態との関係がより明らかにされた。以上の3検査法にはそれぞれ長所、短所があり、症例によるその選択、さらには併用を可能にする意味で3検査法を同一の装置で行える診断機器の開発を進めた。2)中耳換気・異物除去能に関する研究…正常および各種病態における中耳腔の酸素分圧動態が詳しく検査された。又、粘膜繊毛輸送機能について粘膜の粘弾性的性質の検討および粘膜の電顕的観察により検討がなされた。3)中耳・耳管の組織学的研究…乳突蜂巣、耳管粘膜の正常および病態で発育程度の組織学的観察や、副鼻腔炎等の付随疾患存在時の耳管粘膜の組織学的検索が詳しくなされ、それらの結果より真珠腫症を含めた各種中耳炎の発症メカニズムについて検討がなされた。
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