新視点より行なう細胞機能発現とリン脂質の役割の研究

1986 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 61304056
• 研究機関: 静岡薬科大学
• 研究代表者: 松本 亮 静岡薬大, 薬学部, 教授 (70046241)
• 研究分担者: 池沢 宏朗 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (40080163) ; 野沢 義則 岐阜大学, 医学部, 教授 (10021362) ; 斎藤 国彦 関西医科大学, 医学部, 教授 (80077560) ; 井上 圭三 東京大学, 薬学部, 教授 (30072937) ; 大沢 利昭 東京大学, 薬学部, 教授 (40012603)
• キーワード: リン脂質 / 細胞機能発現 / リン脂質代謝 / 膜リン脂質 / ホスホリパーゼ / リン脂質合成 / 代謝調節

研究概要

本研究は、細胞固有の機能発現や生命活動におけるリン脂質の積極的な生物学的役割を新視点から明らかにすることを目的としている。当該年度は、
1.細胞の機能発現とリン脂質の代謝調節との関連におけいて、血小板,多核白血球,脳,肥満細胞等の機能細胞からいくつかのリン脂質分解酵素(ホスホリパーゼC,ホスファチジルイノシトールおよびリゾホスファチジルイノシドール特異的ホスホリパーゼC,血小板活性化因子(PAF)アセチルハイドロラーゼ,コリンキナーゼ等)が精製され、これにより、これらのモノクローナル抗体の作製,細胞内局在性と機能発現,遺伝子の分離等の研究に前進が見られた。
2.また、神経伝達に関与する膜構造におけるホスファチジルコリン,ホスファチジルイノシトールの重要性,灸刺激による血小板活性化因子(PAF)の増加,ラット肝コリンキナーゼの分子多型,骨髄細胞分化におけるエーテル脂質とアラキドン酸代謝の重要性,血小板の活性化における長鎖不飽和脂肪酸の関与等、重要な新知見が得られた。
3.リン脂質の生理学的役割を解明する上で欠かせないリン脂質結合タンパク質(PAF結合タンパク質)の分離,リン脂質合成欠損変異株の樹立,生理活性リンパ脂質(特に極性塩基部位)の新しい化学修飾法等に進展が見られた。さらに、リン脂質の新しい代謝経路(エーテル型リン脂質のコエンザイムA非依存性アシルトランスフェラーゼの存在)も明らかにされ、リン脂質の分子、遺伝子レベルにおける機能解明への進歩が見られた。以上、本研究の目的を達成する上で、初年度分の目的は充分に達成されたものと考えられる。

研究成果

• [文献書誌] Y.Suzuki: J.Biol.Chem.
• [文献書誌] M.Miwa: J.Biol.Chem.262. 527-530 (1987)
• [文献書誌] 村瀬茂夫,他: 脂質生化学研究. 28. 433-436 (1986)
• [文献書誌] K.Takeshita: J.Pharmaco-Dyn.9. -115 (1986)
• [文献書誌] M.Kometani: Thromb.Res.41. 801-809 (1986)
• [文献書誌] M.Kometani: Thromb.Res.42. 567-577 (1986)
• [文献書誌] A.Tamura: Biochim.Phiphys.Acta. 855. 250-256 (1986)
• [文献書誌] T.Muramatsu: Chem.Phys.Lipids. 36. (1985)
• [文献書誌] Y.Masuzawa: Biochim.Biophys.Acta. 876. 80-90 (1968)
• [文献書誌] Y.Kamisaka: Arch.Biochem.Biophys.249. 569-578 (1986)
• [文献書誌] P.Wang: J.Biochem.100. 1015-1022 (1986)
• [文献書誌] K.Yasuda: Biochem.Biophys.Res.Commun.138. 1231-1236 (1986)
• [文献書誌] K.Saito: Platelet-actevating factor,pulmonary hyperreactivity and asthma at L' Esterel,Quebec,Canada,. 26-27 (1986)
• [文献書誌] T.Takenawa: J.Biol.Chem.261. 1092-1098 (1986)
• [文献書誌] T.Takenawa: Biochem.Biophys.Res.Commun.139. 1272-1278 (1986)
• [文献書誌] S.Enosawa: Biochem.Pharmacol.35. 1555-1560 (1986)
• [文献書誌] Y.Koyama: Toxicol Lett.31. 37-44 (1986)
• [文献書誌] S.Nakashima: Biochem.Biophys.Res.Commun.135. 1099-1104 (1986)
• [文献書誌] Y.Banno: Biochem.Biophys.Res.Commun.136. 713-721 (1986)
• [文献書誌] Y.Okano: Biochem.Biophys.Res.Commun.137. 1112-1118 (1986)
• [文献書誌] H.Manabe: Chem.Phys.Lipids. 40. 1-40 (1986)
• [文献書誌] M.Nakajima: Toxicon Toxicon. 24. 695-704 (1986)
• [文献書誌] M.Nakajima: Biochem.Pharmacol.35. 3031-3038 (1986)
• [文献書誌] K.Maeda: Biochem.Int.,. 12. 855-863 (1986)
• [文献書誌] Y.Tamori-Natori: J.Biochem.581. 581-590 (1986)
• [文献書誌] M.Kohayakawa: Thrombosis Research. 41. 649-657 (1986)
• [文献書誌] H.W.Chang: J.Biochem.100. 1099-1101 (1986)