研究分担者 |
金沢 武道 弘前大学, 医学部, 助教授 (90003392)
鏡森 定信 富山医薬大学, 医学部, 教授 (20019615)
三村 悟郎 琉球大学, 医学部, 教授 (50040514)
戸嶋 裕徳 久留米大学, 医学部, 教授 (00080664)
籏野 脩一 国立公衆生院, 疫学部, 部長 (10100124)
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研究概要 |
高齢化社会を急速に迎えつつある今日、脳卒中,心筋梗塞など死因の半数を占めるのみならず、脳血管性痴呆を含め最も多い疾患と言える成人循環器疾患について、その薬によらない一次予防を実現するための基礎資料として、食習慣の異なる全国諸地域の栄養条件と循環器疾患との関係を血液や24時間尿の採取し、よく標準化した国際比較も可能な方法で、同一研究室(島根医大)で全試料を測定するという初めての全国的規程の共同研究を開始した。 本年度は、島根,久留米,別府,沖縄,富山,弘前の合計6地域の各2〜5万人の対象集団について、50〜54才の男女各100人をランダムに抽出し、コロトコク音自動記録血圧計で血圧を測定し、真空採血管で彩血、比例採尿器(アリュートカップ)で24時間尿を採取し、凍結後島根医大に搬送し、尿による食塩やカリウム採取の指標としてNa,Kとそれらの比率(Na/K)をはじめCa,Mgなど種々の金属元素、喫煙の指標としてのコチニン、蛋白質摂取ことに魚介類や獣肉蛋白の指標として尿素窒素タウリン、メチルヒスチジンを分析し、さらに摂取脂肪酸を分析するため血中の燐脂質の脂肪酸を精査した。 すでに測定を終了したデータからは、1日の食塩摂取量(g)とKの摂取量(Kclのg数)は弘前(14.7±5.4,3.8±1.5)富山(13.0±4.6,33±1.4)久留米(13.2±4.4,4.2±1.7)島根(12.3±4.7,3.4±1.3)別府(11.0±4.3,3.3±1.2)沖縄(8.4±2.9,2.9±1.3)で、食塩にていては北は高く南は低い傾向がある。特にNa/K比は富山(5.4±1.8)弘前(5.3±2.1)島根(4.8±1.6)別府(4.5±1.7)久留米(4.3±1.4)沖縄(4.2±1.7)と各地域集団の血圧の平均値と正相関した。循環器疾患の死亡率との関係はさらに2年後に調査を完了するが脳卒中,心筋梗塞ともに沖縄は低く、Na/K比が低いほかに、血中燐脂質の脂肪酸のW-3/W-6比(0.278±0.698)は富山,弘前,島根(0.504±0.169、0.495±0.113、0.437±0.194)に対して低く、今後の因果関係の分析が重要である。
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